第21話:羞恥と戸惑い

 近くの茂みに転移する。


「ふぅ……転移完了。サク? いるか?」


「ここじゃよ~」


「お、いたいた。ここから出ようか」

 そう言って手をつなぐ。


「ご主人!?」


「あっ! ごめん!」

 思わず手を離す。


「い、いや……我、従魔だし……拒否できんじゃろ? その……ご主人がしたいなら……い、いいんじゃぞ?」


 なぜ顔を赤らめる。やめてくれ。俺は女とリアルでイチャイチャしたことないんだよ……


「い、いや、あの、他意はないんだよ。うん。その、危ないから? 手を? 繋いだだけだからね?いいね?」


「わ、わかったのじゃ」


 くっ、これじゃまるで手を繋ぎたかったみたいじゃないかぁ……

 でも手はあったかかったし柔らかかった……いかんいかんそれじゃもたん。気を引き締めていかねば。


「ここか。ってうわぁ!」


 そこには300人以上の人々が。

 男女関係なく下着程度しか着ていない状態で座っている。

 数人立っている人がいて、口が動いている。

 多分何かの儀式魔法の詠唱でもしているのだろう。

 儀式魔法というのは複数人で行う魔法で、

 物によっては呪文を詠唱して行う物もある。

 多分今回がそうなのだろう。

 そう思っているうちに紫の光が下にあった魔法陣から迸る。


 と同時に2つ声が聞こえた。

 一つは


「ふふふ……はっはっは……はーっはっはっは!!!

 ついに降臨できたわぁ!」

 という声。

 もう片方は


「くそっ! 間に合わなかったか!」

 という声。

 あれ?来るの遅くない?感知結界反応したよね?

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