第19話:回想と情報

 皇城からウキウキで帰宅する。

(後ろ盾もできた、金ももらえた、あっちは助かった、WIN-WINだぁ!)


「おかえりなさい、ソラ」

「はい。ただいま帰りました。お母様」

 家に入りながら、お母様に今日の出来事を話す。


「まあ! 皇帝陛下とお会いしたのね! しかも邪龍を退けて皇子殿下を救って! さすが私の息子ね!」

 とご満悦。


 そして夕飯のときにもその話題が出た。


「あなた、聞いて! ソラが皇帝陛下とお会いしたのよ!」

「なんと! すごいじゃないかソラ!」

「しかも邪龍を退けて皇子殿下まで救ったのよ! さすが私達の息子ね!」

「ああ、そうだな!」


 肝心の僕は会話に参加できてないし、

 姉さんも僕をそっちのけで喜んだりしてるし……

 ちなみにだが、家には姉のリリーと妹のシャーロットと両親しかいない。

 ソリュース兄さんは宮廷魔導師団へ、

 カダム兄さんは宮廷騎士団へ就職したからだ。

 15歳になったので訓練兵として入隊できるのだ。寂しくなるなぁ……


 そんな感じで、いるのに僕不在、という状況のまま食事は終了し、今日を終えた。




 ◇




 その翌日は家でゆっくりしたり、スキルをいじってみたりした。

 その次の日から2月に入るまで、冒険者活動をした。

 具体的には、

 ゴブリンの群れを退治(リーダーはゴブリンキングCランクモンスターだった。群れは100匹くらい。3秒で終わった)したり、

 オークの巣を襲撃し、囚われていた女性数人を救ったり、(この時サクが役に立った。龍化して気を引いてくれたおかげで救出がスムーズに行えた。こういうのが欲しかった)した。


 ランクはCだがもうB寸前まであがった2月初頭のある日。

 それは突然だった。

 いつものようにギルドへ向かう。

 

 ――WSWorld Systemが自動で起動した。

〔《{スキル:タスクマネージャー}世界監視ワールドタスク》を起動。帝都に範囲を限定。高密度情報収集を開始。当ギルド4階のマスタールームにて、ギルドマスターと冒険者ランクX序列第二位、「オリジック」が対談中。システム権限により盗聴を開始します〕

 そう言うので近くにあった椅子に座って聞き始める。


『…………かし、邪神降臨とは本当なのですか?』

『ああ。本当だ。警戒していた邪神信者がこぞって街から出ていった。方角を推測するに、少し前に邪龍が現れた場所だ』

『なるほど…………はぁ、わかりました。明日、向かうとします』

『本気か!? 何が起こるかわからんのだぞ!?』

『ええ。そうでしょうとも。もしかしたら私はそこで死ぬかもしれません。でも、平和のためなら。やるしか、ありません』

『そうか……わかった。死なないで帰ってきてくれよ』

『ええ。善処いたします』

 〔……会話が終了しました。同時に盗聴終了。会話にあった邪神降臨推測地周辺をこれより監視。監視終了は状況終了後の予定〕

 とりあえず邪神が降臨するのと、オリジックさんはいい人なのはよくわかった。

 じゃあ僕は、オリジックさんが死ぬのを防ぐために邪神を討伐するとしましょう。

 実力発揮のいいチャンスだ。

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