第9話:訓練と驚愕

 僕はソラ。

 今は8歳だ。

 今日も魔術訓練がある。


「やあソラくん。調子はどうだい?」

「先生。今日も元気です」

「そうかい。それじゃ早速訓練を始めよう」

「はい!」


 この人が魔術訓練でお世話になっているウィリアム先生だ。

 昔は宮廷魔導師団で序列5位にまで上り詰めた事があるようなすごい人だ。

(この国の宮廷魔導師団は世界トップクラスの実力を誇るそうだ)

 今はこのクロノス公爵家の専属教師として雇われている。


「そういえばソラくん。魔導師にはなったのかい?」

「いや、まだ私は8歳ですよ?魔導師は最低でも10歳からじゃないですか」

「はは。そうじゃった。でもシアくんほどの逸材なら10歳を待たずとなっててもおかしくないと思っての。なんせ既に魔導師と同等かそれ以上の実力があるんじゃから」

 魔導師は多元存在アカシックレコードに少しでも認められたら名乗ることができるというものだ。

 前提条件は何らかの第4位階魔法を十分に使えるというもの。

 魔導師になれば第4位階魔法は安定して使える。

 まあ、世間では魔導神がお認めになったら、とか言われているらしいけれど。


「じゃあ、今日は火の第4位階の魔法を使ってみてくれ。

 と、その前に。

{超越火}拡大獄炎防護》ワイデンインフェルノプロテクション


 この超越魔法は火魔法に対する完全防護だ。

 僕の無限の力は封印しているし、魔力も全力じゃないからこの超越魔法で受け止めることができる。


「はい!《{獄炎}地獄烈火ヘルフレアバースト

 その言葉と共に魔法陣が手元に展開され、魔法が発動する。


 手からまさに地獄の炎が津波のように押し寄せる。

 そして先生の魔法に激突する。


「くっ……強い……!この年齢でこの威力……しかも制御も完璧……

 今まで見た《地獄烈火ヘルフレアバースト》の中で一番の出来……なんてお方だ……!」


 僕はその言葉を聞いて魔法陣を消す。


「ふう……素晴らしいですな。何をしたらここまで成長するのか教えてほしいくらいですわい」

「いえいえ。先生のご指導の賜物ですよ」


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