朝、君を見つめて。

朝。

前日の仕事疲れがとれないまま珈琲を片手に重い足取りで出社し、自分のデスクに向かう。


パソコンの電源を入れ、席に座ろうとしたとき

「見えてる?ねぇ。見えてる?」

それは、突然聞こえてきた。


「見えてる?ねぇ。見えてる?」

どうやらデスク横の窓を遮るブラインドから声が聞こえてくるようだ。

しかし、ここはビルの13階だ。窓の向こうは当然、人などいるはずがないのだ。

「見えてる?ねぇ。見えてる?」

聞こえてくる声に怯えながら、私は恐る恐るブラインドをゆっくり上げた。


しかし、窓の向こうには声の主どころか誰もいなかった。

青空の下、ビルの合間を人々が忙しいそうに歩いている光景だけが広がる。

それと、さっきまで聞こえていた「見えてる?ねぇ。見えてる?」という声も聞こえない。


疲れが溜まっておかしくなったのか。そう思いながら私はブラインドを下げると、

「見えてる?ねぇ。見えてる?」

とまた声がする。


なんだか気味が悪くなり、窓から離れようとしたとき、ふとブラインドが目にとまった。   


さっきまでは気がつかなかったが、ブラインドに顔のようなものが浮かび上がっている。

それは、まるで人の顔が逆さになっているように見えた。

「見えてる?ねぇ。見えてる?」


再び声がする。

怖くなり、すぐにその場を離れようとしたとき

躓いてしまい、珈琲を手に溢してしまった。

「熱っ」私がうめき声を上げると窓から

「大丈夫?」

と心配するかのような優しい声が聞こえた。

私はつい思わず「大丈夫」と応えた。


すると、私の耳のすぐ傍で

「キコ縺ヲ繧具シ?縺ソ縺医※!!繧具シ?シ∬ヲ九!!∴縺ヲ繧具シ?シ√Α繧ィ繝?ウレシイΝ??シ」

大きな今まで聞いたことのない音が聞こえた。



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