第二十五話 初めてのエリアボス

 ステータス確認を終えてボスを目指して数時間、ようやくエリアボスの前に来た。


「つ、疲れたー」


 もうすぐボス戦だというのに、ここに来ただけで疲れてしまった。敏捷の恩恵がどれだけ良かったか、実感してしまう。


「敏捷のステータス上げたいけど、スキルのせいでほとんど上がらないんだよな」


 何か乗り物的な物が欲しいな。と思っていると、画面が出てくる。


――――――――――


ボスエリアへ入りますか? YES/NO


――――――――――


 あ~、本当はもう疲れ切ってるからやりたくないんだけど、今日中に第二の街に行きたいからやるか。


 俺はYESを押し、進む。すると、先ほどの草原とは違い、俺の腰まである草が伸びている草原へ出た。


「ぐががああああああ!!!!!!」


 俺の前方にデカい盾といびつな剣を持ったデカいゴブリンが現れる。そして、そのゴブリンの周りには草のせいで頭しか出ていないただのゴブリン達も現れた。


「これがキングゴブリン」


 あの長い話をしていた骸骨よりでかい。あいつの名前何だっけ?まぁいいや。今はこいつらに集中しよう。


 俺はM4を構え周りにいるゴブリンを一掃しようとしたが、ゴブリン達は頭を下げ草原の中へ隠れる。


 うげっ!!これじゃどこにいる分からねぇ。これが掲示板に書いてあった不意打ち注意の正体か。


 俺が戸惑っているとキングゴブリンが俺へ目掛けて襲ってきた。


「ぐがあああ!!」


「ぐへっ!!」


 敏捷が全くないので回避行動も取れず、攻撃を受けて吹っ飛ばされる。


「くっ!!」


 痛覚は30%くらいにしているが、それでも滅茶苦茶痛い。平和な日本じゃこんな攻撃を受けないのでとても痛いのは当然だろう。


「りょ、『りょうさ』「げがぁ!!」」


 スキルを発動させようとすると、草原に隠れていたゴブリン達からナイフで攻撃されてしまう。


「うっ!」


 そしてまた、それを見逆らったキングゴブリンが俺を襲う。


 「うがあああ!!!」


 またキングゴブリンに飛ばされる。くそ!これ完全にパーティ推奨のボスじゃないか。俊敏が無いソロの俺だとこのコンボを抜け出せない。


 今から『量産』を使おうとしても時間がかかるから、またゴブリンに邪魔をされてしまう。何かないのか!・・・・・・あ!!


 俺は立ちあがり、そして俺を襲って来るゴブリン達にスキルを発動する。


 ・・・あ、あれ?発動しない。何故だ?そう思っていると、俺の体が勝手に動き出し、ぺたん座りして手を目のところに置くと、


「ぐすん、い、いぢめないでください」(『魅了』)


 そう、泣きながら言う。え?これが魅了?なんか思ってたんと違うんだけど、完全に泣いている小学生なんだけど。


 俺が魅了について疑問に思っていると、ゴブリン達は足を止めた。


 あれ?これ、かかってるの!?嘘だろ!?ゴブリンはこういうの見たら逆効果と思ったのに。


 とりあえず、魅了状態なった相手は命令できるようなのでやってみる。


「あのいぢめるゴブリンをやっつけて!!」(お前ら!!キングゴブリンに向かって突撃だ!)


 何故か言葉が変換され、俺の口からそう出る。すると、ゴブリン達はキングゴブリンの方へ突っ込む。


 キングゴブリンも部下が突然自分を襲ってきて戸惑っていた。こ、これはチャンス!


「『量産』!!」


 俺の後ろの魔法陣から3つのM4が出てくる。弱体化したとはいえ、俺の持っているのと合わせて4つなので十分だ。てか、今更思ったが15個は過剰だろ。


「もくひょう!!きんぐごぶいん!!はっぽうようい!!」


「うてーーー!!!!」


 そして、キングボブリンに乱射する。キングゴブリンは盾で守ろうとしたがゴブリンに邪魔をされて構えることが出来なかった。


____________


エリアボス『キングゴブリン』を倒しました。


PL;ベレッタのレベルが30に上がりました。


ジョブスキル;「最後の流れ星」を習得しました。


初討伐により、PL;ベレッタは第二の街へ行けるようになりました。


ユニーク素材『キングゴブリンの王冠』を手に入れました。


____________


 よ、ようやく倒した~。もう絶対キングゴブリンとは戦わないでおこう。


 そう誓うのだった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


また、ベレッタちゃんの運が悪さしたそうです


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る