第5話―四つの前悪05―

陸の上でおとなしくなった魚のような目をして夕陽を無になって眺めていた。

ある程度、彼なりに現状を整理をつけてから小さく嘆息をこぼす。


「見つからないものなんだな…意外と」


夕焼けのクア・レディックにある丘で散々な結果なことに嘆いていた。

どうやったら騎士に戻れるか考えに考えてたどりついたのが国家の機関で雇用されることだった。

しかしシザーリオが立つ所は辺境の地であること失念していた。

騎士たちが任務としてクア・レディクレを守護するため駐屯としてのベースキャンプ。

やっかい払いされ復帰されるとは客観的に見た彼は絶望的なのは理解していた。そして最後にあるのは―――


(ギルドで登録の契約を結んで土地の人達にひそむ問題を解決して騎士になる道…けど、

それは騎士道としては最悪な道になる。

なら五等騎士らしく庶民のジョブをやるしかなさそうだな)


頑なに避けてきた一般的な職業。それを彼は決意して明日には、手当り次第に求人を探そうと方針を決めて宿に泊まりに丘を降りるのであった。

元騎士になってしまったが本気を出せば喜んで雇ってくれるとシザーリオは楽観的に考えていた。


(気をつけないといけないのは俺は変にプライドを捨てないところだな。

騎士道を目指してばかりでちゃんと敬語を使えるか不安だけど。

金策きんさくを上手く行けば、ここを出て立派な騎士に戻してもらえる間まで!)


自分に相応しいとプライドがあって見つからないなら職種をこどわらず勤めようと決意を新たしにする。

されどシザーリオは職種をどこでも勤めると決意していたが、その中にギルドだけは排除していた。

人権が無いに等しいことを騎士として務めていて知っていたからだ。ただき使われて終わることを。

翌朝は晴天。戦闘には何がある彼であるが体力は正規兵の中では優れている方だった。

なので身体を使う仕事には自信があった。探し回った。断れて落ち込まずに、また探す。それからも探し続けていくが結局はどこも断れてしまったのだった――。


「どうして俺がどこも雇われないんだろうなぁ。俺これでも体力だけは自信があったんだが…どこが欠点があるというのか」


外周部にある柵に背中をもたれていた。

村を囲われる柵は魔物や賊に侵入を妨げるため立てられた。こうして伝えられていて所々には補修が必要であると感じる年季が刻まれていた。

夕焼けに照らされて装飾される平原。広がっている平原には遠くから見えるのは木々などが茂た森林地帯。


(もう最後の選択肢が残っていないか…

ギルドで登録して騎士になる)


悲観的に諦念してシザーリオはギルドに明日に出向くことを決める。

落ち込む彼の目には傾いて燃える光は零落れいらくの身に落ちぶれたシザーリオを

優しく励ましているように見えるのであった。

――次の日が迎える。泊まっていた宿を何時まで居るんだろうかと自虐的な気分になってギルドのドアを開けて入る。


「「………」」


出迎えたのは身元を吟味するような視線。


(ここは…暗すぎるッ!!)


職員のいらっしゃいませ歓迎ムードな声の一つもない陰湿な空間。ここに来てシザーリオは来たことに時期早々ではないかと警鐘が鳴り出す。

負の坩堝るつぼが煮詰められていると彼は引き返すべきかと一考したが、戻るべき道はこれしかないと心中で言って納得をさせる。

ここへ来ることないと思っていたシザーリオは受付の前に近寄って椅子に座る。

前に担当した人とは違う若き女性。


「ここで魔物退治や雑務することにした。

手続きをお願いします」


左様さようですか。では少々お待ちください」


職員の若い女性は立ち上がると後ろにある棚にえる手続きの書類を持ち出して戻る。


(やっぱり氏名だけの手続き)


「こちらに氏名を」


ペンと一緒に差し出され、シザーリオは受け取ると迷わない様子で記入していく。記入したのはシザーリオ・ファクトベースという

簡潔なものを


(そして最後に怪しい腕輪が置かれる)


ペンを手続き書の上に添えるようにして渡そうとして机を滑らす。


「確認させていただきます…確かに。

こちらを身につけてくだされば手続きの最後となります」


やはりか!とシザーリオは心の声。

これが決意を揺れ動く怪しい腕輪。瘴気を放っているように感覚のある品物を置かれる。


(だからなんだ!俺が生まれてから持つ呪いなんか比べても大したことない)


呼吸が乱れそうになるのをシザーリオは震える手で、その腕輪を触れてつかむ。

そして、その腕輪を左手に装着。


「俺は騎士に戻ってみせる。たとえ奴隷のような身になっても!」


意を決した声でシザーリオ・ファクトベースは宣言した。それは自分に悲境ひきょうから脱するためにも鼓舞であること。

どんな呪いや制限されようが理不尽なことに対する受けて立つ覚悟だった。

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