はじめに③ 三度目の入院に至るまで

 中高一貫校に週2日くらいしか行っていなければ、高校にエスカレーター式で進学する条件を満たすか危うくなる。もしも進学の条件を満たしたとしても、1時限目の科目の単位が出席日数を理由に落ちることは容易に想像できた。


 どうせ通えない高校に進学する意味はない。偏差値70の中高一貫校は中学まで在籍することにして、高校は通信制を選んだ。



 わたしが進学した通信制高校は、東京大学の合格者を輩出した経験がなかった。先生から「あの中学校から進学してきた」プレッシャーを感じていたが、小学生の頃のように勉強ができない。


 人間関係でトラブルを起こして役割を下ろされ、自傷行為をしない自分の方が恥ずかしい。いつも肌荒れがひどくて、当時の写真は見せられるものではない。


「小さな頃から勉強ができることが取り柄だったのに、それもなくなった。自分は何もできないんだから、生きている価値がない」と思い続けていた。



 高校2年生のクリスマス・イブ、処方されていた睡眠薬を36錠まとめて飲んだ。眩暈は4日間続く。親によって事態はかかりつけ医に報告され調整される。



 高校3年生の3月から、人生で初めて精神病院に入院した。最初の入院は2015年の3月~7月ごろ、2回目の入院は2015年の12月~2016年の1月で、どちらも任意入院(本人が同意している入院)だった。


 通信制高校を卒業してからは、大学編入を目的に英語科の短期大学に進学をした。しかし、やはり通学が難しく、半期休学をした。通おうとすればするほど病状が悪化して、2017年の1月から、3度目の任意入院をすることになった。


 その3度目の入院を開始したとき、19歳・短期大学1年生の冬から、日記をつけ始めた。

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