精神疾患闘病記――偏差値70の進学校を辞めたわたしの、3度目の入院――

いな

はじめに 19歳・三度目の入院前

はじめに① 精神疾患になる前は

 たしか、「勉強ができる子」「変な子」と説明される機会が多かった。幼いわたしは全く納得していなかった。



 幼少期には、アンパンマンを愛しすぎていたようだ。アンパンマン図鑑に掲載された1000以上のキャラクターを暗記して、幼稚園の入園式を迎える前にひらがな・カタカナが全て読めていた。神童扱いを受けた。


 幼稚園に在園していた頃に、母親が病に倒れて後遺障害を持った。母の後遺障害には言語障害も含まれた。

 偶然にも、わたしはそれ以前にアンパンマンで文字をマスターしていたため、本を読んで過ごしていた。小学生時代に母親が教員に渡す連絡帳の文章の校正は、小学生のわたしが担当した。



 しかし、幼稚園の入園式にてアンパンマンソングが流れたら勝手に舞台上で踊り出すような、走るのが遅かった頃はサッカー中に新体操の技を使って移動していた覚えがあるような、奇妙な子でもあった。


 年に1回以上は主要教科の授業を道徳や学活に急遽変更させてしまうほど、対人関係のトラブルを起こしていた。

 また、運動音痴だったため、体育が嫌で嫌で仕方がなかった。「運動会の競技が自分のせいで負けた」事態は、小学校在学中に4回経験した。


 友達を作れず、遊ぶ楽しみを見出せなかった。だからこそ、同級生のなかで誰よりも勉強熱心で、成績が良かった。

 そして、「いじめから逃げて、友人を作りたい」という目的で中学受験をした。



 中学1年生の夏までは、小学校の同級生に「中学校でも友達を上手く作れない」と相談すれば「悪口気にするなんてお前らしくないぞ」と言われるような、そんな子だった。


 真面目で世間知らずで、反抗せずに努力で打ち負かす。自分の世界に入り込んでいたから、他者の視点があるなんて、考えたこともなかった。

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