大晦日

自販機からおつりが落ちる音

ちゃりん ちゃりん

生きている音がする


小銭をポケットに突っ込んで

じゃらじゃら じゃらじゃら

顔の見えない人が家路を急ぐ


正月を迎えようと

躍起になっていた人々は

どこへ消えたのか


街はわずかな明りを灯して

行儀良くして

静かに佇んでいる


交差点の

信号機だけが

ちかちかとうるさい



身体の芯まで染み込むような寒さを

心地良いと思えるような

人間になりたい


ぽつりぽつりと輝く星よりも

光っていることを引き立たせる

脇役の夜空でいい


周りの人と同じように

正月を迎えながら

いつもと変わらぬように

きょうもあしたも 生き抜きたい

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