第33話 アリス先輩とのコラボ

今日は金曜日、つまりアリス先輩とのコラボの日だが..... 最近思うのだが、俺コラボ多すぎじゃないか?そりゃあ今一番伸びてるVtuberと言われてるなだけあって、コラボが多くなるのも仕方は無いが.... 流石にこの頻度は少し多すぎな気がするな。蓮夜さんにでも相談してみようか.....


そんな事を考えながら適当に街中をぶらついてると、見知った顔があったので立ち止まる。


和人『ん?あれは....... 有栖先輩か。』


今日コラボ予定のアリス(有栖)先輩とはコラボの打ち合わせなどで何回か事務所で対面してるので顔は一応覚えているという訳だが。


どうやら面倒な男達に絡まれてる様だな......

どうしよっかなぁ、助けたら今後のメリットに繋がるかなぁ、でも何だか面倒臭いしなぁ。迷うな......


和人『ん?』


有栖『や、やめてください!』


男A『良いじゃん笑 別に、少し路地裏行こうよ!な!』


男B『良い事するだけだからさ!別に怖くないから!』


男C『さ!行こ行こ!』


うーん、まぁ良いか、救ったら後々何か良い事ありそうだし、けどまぁ路地裏でやった方が色々と都合良さそうだし、ちょっとだけ様子見かな。


そのまま有栖先輩は男達に路地裏に連れて行かれ、それを後ろからこっそり近づいて行く事にした。


有栖『嫌ッ..... やめて!』


男A『へへっ、さてヤっちゃいますかねぇ....』


和人『何をヤっちゃうのかな?』


男B『だ、誰だ!?』


和人『別に俺の素性なんてどうでも良いんだから、さっさとその子から離れて貰える?』


男C『なっ!見られたからにはタダじゃ返さねーぞ!!』


男A『や、やっちまえ!』


男Aが命令し、他のBとCが殴りかかってくる。


男B・C『死ねぇぇぇぇ!!』


和人『人を殺した事ない癖にそんな事気軽に言っちゃダメだよ?後々後悔するかも。』


そう言いながらBとCの拳を避けそのままBに殴り返す。


男B『がはっ!?』


和人『あぁ笑 後悔すんのは後々じゃなくて今だったみたいだね。』


そう言い終わる前にBが地に倒れ伏す。


男C『クソがぁぁぁぁぁ!』


後ろからCが再度殴り掛かってきたので、右手で拳を受け止め、空いた左手でCの腹に拳を食い込ませる。


男C『ぐはっ....!?』


和人『んー?弱いな弱すぎるよ。こんなのRPGの序盤で出てくるスライムより弱いよ。下手なラノベのモブキャラの方がまだ上さ、正直呆れたよ。んで、君はどうすんの?』


CとBは倒れ伏し残りはAだけとなったが、Aはポケットからナイフを出してきた。


和人『はぁ..... 勘弁してよ。今日はそこの子とコラボの日なんだけど?』


男A『へっ、んなの知った事か!お前は今この場で俺が殺すんだから、コラボもクソもねぇんだよ!!』


そう言ってAがナイフをこちらに向けながら突っ込んでくる。


有栖『危ない!!』


和人『残念だけど、君に俺は殺せないかな。だって君弱すぎるし、ナイフとかの武器に頼ってる時点で自分の弱さを見せつけてるようなものだしね。じゃあここで一回死んでこっか?』


こんな長文語ってる時間はあるのかと突っ込みされそうな感じだが、とりあえずAのナイフを避けそのままAの顔面に蹴りを入れる。


男A『ぁぁ....』


痛すぎて声も出ないようだ。まぁ当然の報いといったところだろうか。有栖先輩は尻餅をつき、目を見開きながら俺の方を見ていた。

こういう時はどのように声を掛ければ良いのだろうか。


和人『えぇと...... 大丈夫ですか?有栖先輩?』


有栖『ぅ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!』


俺が声を掛けたら硬直が解けたように泣きだして俺の方に近づき抱きしめてきた。


和人『えぇ..... まぁ、元気出してください?』


有栖『怖かったよぉぉぉぉ!!!』


その後は1時間ぐらい有栖先輩を慰めてた様な気がした。


◇コラボ配信


有栖『という事があってね!ホント、ラルクかっこよかったんだよぉ!!』


ラルク『別に話さなくて良くないですか、そんな事.....』


有栖『嫌、そんな事って言い方はないでしょ!ホントにあの時はラルクが助けに来てくれて嬉しかったんだから!!』


[ちょ、リアルなろう系主人公やんwww]

[ラルクマジ強すぎだろwww]

[え、これリアル話?]

[え、ガチなん?]

[そうなの?俺創作だろとおもって聞いてたんだけど]

[てか、これガチだったらマジラルクやばくね][有栖がラルクに惚れない方がおかしいな、もし本当なら。]

[ハイスペックVtuberが女の子救ったら実はその子も同じVtuberでした。]

[本当にありそうでじわる]


有栖『あー、皆信じてないなー!?本当なんだから!もうマジでラルクはカッコいいんだよ!もう絶対に誰にも渡したくない!私のラルクなんだから!』


ラルク『ちょっと有栖先輩、危ない発言は控えてください....』


[#ラルク炎上]

[てぇてぇ]

[マジ最高のコラボだわ]

[この組み合わせずっと待ってたんだわ]

[マジ最高すぎる]

[もっとやれ]


ラルク『あー、ま!てことでまだまだ配信は続いてくんで是非最後まで見ていってくださいね〜!#アリラルコラボ配信で呟くのもお忘れずに〜!』


有栖『いぇーい!!』


◇配信終了後


和人『はぁ.... 疲れたぁ。』


疲労を隠さずに事務所の廊下を歩いてると後ろから誰かに裾を引っ張られる感覚に陥り、振り向くと有栖先輩がいた。


有栖『よっ!和人!』


和人『いつから呼び捨てされる様な関係になったんですか.... まぁ良いですけど、ところで何ですか?』


有栖『んーとね!今日のお礼!』


和人『お礼ってn))むぐっ!!!』


有栖『えへへ/// じゃ、また明日ね!』


そう言って去っていく有栖先輩......


和人『キスされた..... てかキスするってあぁいう感覚なんだな。』


驚きこそしたが、冷静に考えてみるとお礼でキスされるのは案外普通な事なのかもしれない。そんな事を考えながら俺は再度事務所の廊下を歩いていくのであった。

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