第22話 リリス先輩とのコラボ打ち合わせ

約束した日から既に2週間は経とうとしていた。その間にマネージャーなどを通してコラボの件などを色々話し合い、今日最終打ち合わせを事務所の方で本人同士が対面して行う予定だ。そして明日コラボをするという訳なのだが.....


和人『うーん、何か今になってコラボが面倒になってきたな。何だっけな、コラボ内容。あぁマ○クラか.......』


何でも数あるゲームの中でも平均的に高い同接を叩き出せるのがマ○クラなのだそうで、どのVにも好まれてる、まさに神とも言うべきゲームなのだとか。


何回かやった事はあるが、そんなに面白いとは思えなかった。


和人『まぁ、良いか。どのみち行かなくたって蓮夜さんが強制お迎えしてくるだけだしな、、』


そう言いながらいつもの私服へ着替えて、事務所へ向かう。行くついでにTwitterの方で明日のコラボの告知をしておく。既に枠は立ててるのでそのリンクを付けといてと。


ラルク/RARUKU😈@VLIVE5期生@raruku_vlive

20XX/7/XX

明日はリリス先輩とコラボ、吸血鬼同士だし、まぁ多分気が合うんじゃない?

枠→****************

リプ rt ♡


ツイートした後、ついでにDMの方を覗いてるみると、これまた不思議。沢山の個人勢から企業勢と思われるVtuberというVtuberからコラボのお誘いと思われるものが沢山来ていた。そのどれもが秒単位なとこを見ると、どうやら今したツイートを見た直後からお誘いをしてきた様だ。


和人『うーん、まぁここら辺の対応は蓮夜さんに任せとくか。いちいち1人ずつ見るのもめんどくさいし.....』


そう言ってスマホを閉じる。


◇VLIVE事務所にて


和人『はぁ、やっと着いた。ところで蓮夜さん、こちらがリリス先輩で?』


蓮夜さんの方に視線を向けながら尋ねる。


蓮夜『そうそう!こっちが君が言ってるリリスちゃんこと、リリス・スカーレットの中身、植田琴音ちゃんでーす!』


何故ちゃん呼びなのかが気になるが....

その蓮夜さんの言葉を聞きながら、自分の目の前に座ってる女の子を瞳に映す。


少しモジモジしてるな...... 恥ずかしがってるのか?嫌、まぁ良いか。初対面だし思うところもあるのだろう。


和人『えーと、琴音さん?で宜しいでしょうか、それとも先輩って付けた方が良いですかね?』


とりあえず呼び方が定まらなければ、会話も儘ならないので、そこら辺から聞いてみる事にした。


琴音『え、えと、琴音で宜しくお願いします!あ、後さんはいらないです.....///』


和人『そうか。じゃあ俺も和人で良いよ。宜しくね!(ニコッ)』


琴音『あ、あ......////』


何故だろう、琴音さn)) 琴音の顔が真っ赤に染まっている。熱でもあるのだろうか?


和人『琴音熱でもあるんじゃない?大丈夫?』


琴音『ち、違います!!熱なんてありません!』


和人『そ、そうか。』


琴音が必死に否定してるので、多分大丈夫なのだろう.....


蓮夜『全く、和人くんの鈍感っぷりにも心底呆れるよ。あ!それで、琴音ちゃんの隣に座っているのが琴音ちゃんのマネージャーの香奈(かな)ちゃんだからね、覚えておくよーに!!』


やけに蓮夜さんのテンションが高いのは気のせいだろうか?

にしても...... この人が琴音のマネージャーか、随分若そうだ。年齢にして17..........って若すぎないか?


和人『あの、蓮夜さん、、香奈さんの年齢って.....??』


蓮夜『あぁ、まだピッチピッチの17歳だよ!ね!香奈ちゃん!』


香奈『そ、そうですけど、あまり年齢などは口にしないでください!蓮夜さん!後ちゃん付けもやめてください!』


蓮夜『えぇ〜、良いじゃんか。同じマネージャー同士な訳だし!』


やっぱりかなり若かったな。17歳でもマネージャーの職業に就けるのかは些か疑問が残るところだが、今はとりあえずコラボの打ち合わせを先に進める方が先だな。


和人『とりあえず今は先にコラボの話を進めちゃいましょう。と言っても最終打ち合わせなので大事な要点を確認するだけの簡単な作業ではあるのですが、俺が話を進めていくのが一番効率良さそうなんで進めさせて頂きますね。』


琴音・香奈・蓮夜『はい!(おっけー)』


とりあえず会話の主導権を握る事には成功した様なので重要なとこだけ話していく。


和人『とりあえずコラボでやるゲームはマ○クラでしたよね。ここは皆さん流石に分かってると思いますが、内容としてはVLIVE鯖に行くんですが、俺は初めてですので、琴音..... リリス先輩が紹介してくれるんでしたよね。いずれ5期生の皆でも行く機会があるとの事ですが、その前に俺が一足先にVLIVE鯖の方にお邪魔させて頂くようなので、リリス先輩には深いネタバレをしない程度に紹介して欲しいとの事でした。とりあえずここまでオッケーですよね?』


珍しく長文で語った為、俺の口が悲鳴を上げているが、ここは我慢をする。


蓮夜『うんうん、オッケーオッケー。VLIVE鯖の観光コラボは5期生と先輩方の大型コラボ企画の様なものだから、その前に和人くんはお邪魔するんだから凄いネタバレは控えて欲しいという僕の言葉を覚えてくれていたようで何よりだよ。』


琴音『私もオッケーです!ネタバレをしない程度に和人さんに全力で楽しんで頂けるように頑張って紹介します!///』


香奈『私もオッケーですよ!』


和人『とりあえず皆さん、ここまでオッケーなそうなので、次に行きます。配信の枠は俺とリリス先輩の二つで、リリス先輩の視聴者には一定層ですが、ここでは″ガチ恋勢″と言わせて貰いますが、男性Vとのコラボを望まない人達も一定数いるとの事ですので、コラボ時は一定の距離を保つ事がこのコラボでの一番重要なとこです。』


蓮夜『ガチ恋勢ねぇ〜、正直面倒臭い存在だよなぁ。まぁスパチャとか投げてくれるのはそういう層の方達だし無闇に離れるような行為は避けるべきなんだろうけど、何だかラルクくんなら大丈夫っていう謎の安心感があるから、今回コラボ出来たんだよねぇ。まぁ他のスタッフの方達は否定的な意見ばっか出してたけど、何とか僕の我儘で押し切って企画が出来た訳だし成功させないとまずいよねw』


少し笑いながら言う蓮夜さん..... ガチ恋勢と呼ばれる一定層が厄介なのは確かだが.....


和人『まぁ、何とかなりますよ。大体失敗するのは、俺には想像出来ませんね。何せ俺がやるんですからね。』


蓮夜『ナルシストもここまで来るときついよ(笑) まぁ実際の和人君のスペックを考えたら笑い飛ばせる冗談にならないのが怖いとこだけど。』


琴音『わ、私も和人くんなら大丈夫だって信じてるから!』


香奈『てか蓮夜さん凄い和人くんの事褒めまくりますよね。普段どの人にも塩対応なのに珍しいです。』


え?そうなの?と心の中で呟く俺。


蓮夜『どの人にもってか、単にそこら辺にいる有象無象の相手をいちいちするのが面倒いから塩対応になってるだけだよ。』


香奈『う、有象無象って.....』


このままだと話が長引きそうなので、ここら辺で終わらせるとするか。


(パンパン)手を叩くのと同時に皆がこっちに視線を向けてくる。


和人『とりあえず重要な要点は振り返れたんで、今日はここら辺でお開きにしちゃいましょ。蓮夜さん確かこの後用事あるんですよね?』


蓮夜『あ、そうだった!?やば、僕もう帰るね!後はよろしく!』


そう言って鞄を持ってそそくさと帰っていく蓮夜さん。


香奈『あ、私もこの後大事な会議あるんだった!?ごめんね、もう2人とも帰っちゃって良いから!じゃね!』


そう言って香奈さんも鞄を持ち部屋から去っていく。


部屋に取り残されたのは琴音と俺だけになった。


じゃ、俺も帰るk))『和人くん.....』


和人『ん?』呼ばれたので振り返る。


琴音『あ、あのさ.... 覚えてるかな?私の事。』


はて、今日が琴音との初対面の筈だが、どこかで会ったのだろうか?考えられる可能性としては単に俺が忘れてるだけなのか、それとも良く漫画とかである展開でこの子と俺のとこだけの記憶が抜けているのか、、まぁそんな事は100%ないのだが、とりあえず俺は琴音とは初対面の筈だ。

前に出会ったとかそういうのは無い......筈。


和人『全く覚えてないが、俺達前にどこかで会ったりしたの?』


琴音『そ、そっか..... 覚えてないのか。なら良いや!今日は打ち合わせだけだったけど、今度は2人でどっか出掛けられたら嬉しいな!じゃ私もう帰るね!』


そう言って琴音は持ってきた鞄を持ち、走り気味で部屋を出ていく。


和人『何だったんだろうか。ここでもしこれが何らかの創作物の世界なら突如琴音との昔の記憶が蘇る筈なのだが、流石に無いか.....というフラグも立ててみたが何もないとこを見ると、ここはやっぱり現実という事か。』


そんな長い独り言を呟いてても虚しくなるだけなので俺も鞄を持ちそそくさと部屋から退散する。


和人『コラボは、明日の夜か..... なら今日はオールでA○EXやってても問題は無さそうだな。』



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