第15話 俺、基地を奪還する

 今日から前線だ。

 前線基地は丸太で作った塀に囲まれ、今のところ平穏に見えた。

 俺達は隊長に紹介された。


「聞く所によるとお前達がいると魔力が尽きないんだって。俺は信じちゃいないが、兵士の数はいくらいても良い」


 鐘が打ち鳴らされた。


「敵襲! オーク2千!」

「野郎ども戦いだ」


 俺達も隊長の後をついて前線に出た。


「魔法撃ち方始め」

火球ファイヤーボール


 兵士達が魔法を撃ち始める。

 さっそく出番か。

 兵士の魔力を補充して回る。

 ついでに塀に取りついたオークを高密度の魔力で殺しておく。


 オークの2千ぐらい楽勝だな。

 魔力が尽きないので魔法で圧倒してオークを撃退できた。


「信じちゃいないなんて言って悪かったな」


 隊長がサマンサに謝っている。


「平気です。怪我人も今のうちに治療しましょう」


 サマンサが怪我人を次々に治療していく。

 サマンサを拝む兵士すら居る。


「鳥もああやって殺したのか。オークも殺せるとはな」

「嫌だな、ジェムスさん。精霊の仕業ですよ」

「そういう事にしておくか。隊長が呼んでるぞ」


 隊長は地図を前に険しい顔をしている。


「陥落した前線基地を取り返したい。出来るか?」

「精霊は邪悪なモンスターを倒せと仰せです」

「いま一つ不安なんだよな。お前達に頼っていたら、梯子を外されたなんてならなきゃ良いが」

「今から大精霊を呼びだします。彼に任せましょう」


「俺達は何もしなくても良いのか」

「ええ、お待ち頂ければ」

「そいつは楽で良い。よし任せたぞ」


 えっと、俺達パーティが突っ込むという事だな。

 まあ、オークぐらいどうにでもなる。


 携帯食とか野営道具を用意して、前線基地奪還に乗り出した。

 道中、モンスターの影はない。

 オークがめぼしいのは食ってしまったのだろう。


 前方にオークの集団が見える。

 俺は高密度の魔力で殺した。

 バタバタと倒れるオーク。


収納ストレージ


 サマンサがオークの死骸を収納していく。


「作戦行動中に拾ったお宝も報告しないといけませんかね」

「知らん。俺の任務はスパイに対する物で、横流しなどには関与しない」


「私、オークが金貨に見えてきたわ」

「金貨以外、何物でもないな。そらまた金貨がやってくるぞ」


 オークは美味しい。

 値崩れはしているだろうけど、1頭で金貨1枚はいくだろう。

 オーク討伐が終わるまで、収納魔法の肥やしにしておいても良いかな。


 奪われた前線基地に行くまで千頭余りのオークを倒した。

 前線基地の中にはオークがひしめいていた。

 見つけ次第、高魔力で殺す。

 そうしたら、3メートルぐらいのオークが出て来た。

 普通のオークが2メートルぐらいだから、たぶん上位種なのだろう。


 当然、高魔力の餌食になってもらった。


「お前達の能力を舐めてたな。さっきのはオークジェネラルで、大隊でもってあたるのが当たり前の奴だぞ」


 ジェムスが驚愕の表情でそう言った。


「精霊は強いんだよ」

「私、精霊が好きになりそう」


 サマンサは何を言っているんだ。

 ああ、そうか。

 魔力循環の良さが分かったと言うんだな。

 もっとほめ称えても良いんだぞ。


「歩いているだけで分け前が貰えるのに、文句を言うつもりはねぇんですが。刺激がもう少し欲しいですねぇ」

「じゃあ、ハデスはオークと戦ってみたらどうだ」

「弱い者虐めをするのは信条にもとりますぜ」


 めんどくさい奴だな。

 放っておこう。


 それから後は殲滅するだけだった。

 オークは隠れもせずに向かってくるので対処が簡単だった。

 ゲリラ戦でもやられたら、厄介なところだ。


 前線基地の奪還はなった。

 後は後詰がくるまでここを死守するだけだ。

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