第5話 俺、カモネギで儲ける

デス


 週末、オーガを狩りに森に来たが、出て来るのはレッドウルフばかり。

 レッドウルフは体長2メートルを超える赤い毛並みの狼型のモンスターだ。


「集団でお出ましよ」

デス。何頭ぐらい仕留めた?」

「30頭ぐらいだわ。収納ストレージ


 レッドウルフの集団がまた来るのが見えた。


デス。ところでこいつらは高く売れるのか?」

「肉は硬くて食えたもんじゃないけど、傷のない毛皮は高く売れるわ。爪とか牙も宝石から比べたらゴミだけど、アクセサリーなんかになったりもするみたい」

「そうか金になるなら何でも良い」


探知サーチ。200頭ぐらいの集団が来そうよ」

「オッケー。即死攻撃に死角はない」

「油断したら駄目よ。レッドウルフに遠距離攻撃はないけど、射程競争になったら、あんたでも危ないでしょ」

「その時はサマンサが頼りだ。遠距離は任せた。中距離は俺の独壇場だ」

「あんた、まさか私を弩弓かなんかだと思ってないでしょうね」

「いや、戦車だと思ってる。戦場の花形でヒーローさ。おっと、ヒロインか」

「ああ、あの馬二頭で引っ張る奴ね」


 俺の想像したのは現代兵器の戦車だが、まあいいだろう。


「そうだね」

「じゃあ、あんたは何よ」

「俺は何だろうな。毒ガス兵器か、そんな所だろうな」

「毒ね。ぴったりな気がする。ほら喋っている間に来たわよ」


デス。本当にこいつらカモだな。生き残っているのはいるか?」

探知サーチ。いないわ」


「よし収納したら引き上げよう」


 冒険者ギルドに引き上げた。


「大変だ。レッドウルフのスタンピードだ。その数250」


 冒険者が血相を変えて飛び込んで来た。

 俺達がやったのと同数のレッドウルフがまだいるのか。


「どうする?」

「馬鹿ね。報告にあった集団は、私達が討伐したのに違いないわ」

「そうなの」

「最大出力で探知を打ったから、間違いないわ」

「じゃレッドウルフは売れないな。目立ってしまう」

「なんか屁理屈をひねり出して、絶対に売るのよ。」


 うーん、屁理屈と言っても。

 魔脈の噴出事故が一番近いが、調べたら嘘がすぐにばれるだろう。

 毒で殺したというのは不味いな。

 外聞がよろしくない。

 通りがかりのSランクが恵んでくれたというのもちょっとな。


 よし、水で窒息させた事にしよう。


「水球の魔法を使い窒息したでどうだ」

「それだと私がやった事になるじゃない」

「サマンサは名前が上がっても弊害はないだろ」

「いやよ。うっとうしい」

「仕方ない。小出しに売ろう」

「馬鹿ね。一回目はそれで良いわよ。でも、レッドウルフの集団がいなくなったのに、後で死骸を出したら怪しまれるじゃない」


「なら、売る場所を変えよう。飛行の魔法で飛べば、30分ぐらいで隣町に着くはずだ」

「そうね、魔力タンクがあれば、魔力切れは心配ないわね。普通だと2分も飛べば魔力が切れるから、隣町に飛んで行って売りにきたなんて想像しないはずよね」

「よし、それでいこう」


 買い取りの列に並ぶ。

 俺達の番になった。


収納ストレージ


 20頭の死骸を出す。


「ほう、子供なのに凄腕だな。傷一つないとは凄い。どうやって殺した?」

「水球の魔法で窒息させたわ」

「なるほどな。一頭金貨3枚でいいか」

「ええ」


 やった。

 金貨60枚だ。

 後は飛行の魔法を使い各都市で売りまくれば良いだけだ。


「サマンサ、行こう」

「ええ」


 街の外に出た。


飛行フライ


 サマンサの魔法で一緒に飛び始める。

 俺はサマンサにしがみついた。


「変な所触ったら、殴るわよ」

「仕方ないだろ。手すりや鞍なんてないんだから」

「ちょっと今さわったでしょ」

「失礼」


「この事は秘密よ。ばれたら学園で伴侶が見つからないわ」

「言わないよ」


 そんなこんなで隣町に着いた。

 隣町でも20頭を売ってサマンサの顔もほころぶ。


 13の都市を巡って、売り終わったのは夕方だった。

 金貨380枚ぐらいの儲けになった。

 一気に大金持ちだ。

 ギルドに送金の依頼を出した。

 両親はきっと驚くぞ。

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