第15話侑の不思議なお留守番(3)

2と8をそれぞれ日本語と英語に変換して、文章を完成させる謎解き。

それぞれどう読むのか、侑と二人組は考えた。

「8ははちとエイト、2はにとツーなんだよね・・・。」

「でも当てはめてみても、まともな文章にはならないぞ。」

「そうなんだよな〜、これってもしかして最初から答えがないんじゃないか?」

「確かに!最初から、おれたちを閉じ込めるつもりだったんだ!」

二人組はそうに違いないと決めつけているが、侑は問題の解答を諦めていない。

「はち、えいと、に、ツー、ふ・・・。ふ?」

侑の脳にひらめきが走った。

「わかった、四番目の的だ!」

「えっ!?お前、わかったのか!?」

侑はダーツをポケットから取り出すと、四番目の的をめがけて投げつけた。ダーツが的に命中すると、壁が崩れて道が見えた。

「よし、進もう!」

侑は二人組を連れて歩きだした。

「でも侑、どうして四番目の的が正解だとわかったんだ?」

「日本語の数えかたというのが、一・二・三じゃなくて、ひぃ・ふぅ・みぃということなんだ。そして8はエイトと読めばいい。」

「なるほど、そうなるとこのエイトふぅぐは、美味しい・・・、このエイとフグは美味しいということか。なるほど・・・。」

「確かに、その数えかたはもうしないから、わからなかったね。」

二人組は侑の頭の良さに感心した。

そしていよいよ、Uのいる部屋の扉が見えた。

侑と二人組が入ると、Uが小さく拍手をしながら迎えた。

『まさか、だれ一人欠けることなくここまで来るとは、大したものだ。それはさておき、そこの二人組。よくも侑を酷い目に遇わせてくれたな・・・。』

Uの低い声が、二人組を震え上がらせた。

「ご・・・ごめんなさい!」

「もう出ていきますので、地上へ出してください!」

二人は土下座してUに頼み込んだ、しかしUは簡単に許さない。

『いいや、二人には侑の謎解きに協力してもらう。』

そしてUは二人組に催眠術をかけた、二人は口を閉ざされ黙り込んだ表情になった。

「二人に何をしたの?」

『今から二人には、私の指示通り、二つのことを言う。どちらかが本当、どちらかが嘘である。侑にはどっちが本当かを当ててもらう。二人への質問は、一回だけ許される。』

「わかった、正解できたら二人を返して。」

Uはうなずくとブラックボックスを持ってきた。

「今から二人には、ブラックボックスの中に入っているものについて喋る。それじゃあ行くぞ。」

まずはTシャツの男がいった。

「この箱には、緑色のハンカチが入っている。」

そして次はひげの男が言った。

「この箱には、赤色の財布が入っている。」

侑は頭が真っ白になった、当然箱を開けることはできず、どっちが嘘をついているのかがわからない。

「箱の中にあるのは、緑色のハンカチか赤色の財布・・・、そして二人のうちどっちかが嘘つき・・・」

『ちなみに制限時間は十五分、当てられないと二人は一生地下で暮らすことになる。』

それはだめだ、二人は確かに酷いことをしていたけど、ここから出られないのは可哀想だ。

「質問は一つだけなんだよね・・・、どっちかが本当で、どっちかが嘘・・・。」

ここで、侑はひらめいた。

そして二人組に質問をした。

「この中にある物の色は、何色ですか?」

そして二人組は同じ事を言った。

「この中には、赤色のものがある。」

侑はしめたと思った、そしてUに向かって言った。

「答えは、赤色のハンカチだ!!」

『正解だ、よくやったね侑。約束通り、この二人は解放してやろう。』

そして侑は無事に二人組を取り返すことができた。二人組は催眠術を解かれ、正気を取り戻した。

「あれ?おれたち、何をしていたんだ?」

「無事で良かったよ、これで地下迷路から帰れる。」

『侑・・・、君は優しい人ねえ。あんなことされたのに・・・。』

Uは呆れている。

「それは君が今まで他の人をたくさん酷い目にあわせたからでしょ?」

『そうだな・・・、それじゃあ地下迷路から出るがいい。』

こうして侑と二人組は、無事に地下迷路から脱出していったのだった。







地下迷路から脱出することに成功した二人組は、侑に謝罪と感謝の土下座をした。そして二人組は、屋敷を出たその足で警察へと出頭していった。

その翌日に事件はニュースで報じられて、それを知った重雄と百合絵は予定を切り上げて、慌てて屋敷に戻ってきた。

「侑!!大丈夫か?」

「父さん、母さん!?用事は済んだの?」

「いや、ただお前のことが気がかりでな。慌てて戻ってきたんだ。」

「強盗犯に襲われたそうじゃない、酷い目に遇わなかった?」

「うん、だけどUが助けてくれた。」

「U・・・?なんだそれは?」

「地下迷路にいるあいつだよ。」

「アイツが侑を助けた・・・、信じられん。どうしてそんなことが?」

重雄と百合絵は首を捻ったが、答えはわからなかった。

一方の侑は今回だけは、Uに感謝した。

「相変わらず酷い目にあったけど、今回はぼくの命の恩人だ。それにしてもUは、ぼくが連れ去られそうになったのが、どうしてわかったんだろう?」

侑は首を捻ったが、答えはわからなかった。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る