5-5.バーバヤガふたたび

5-5.あんたはどちらの魔女なんだい?


タイトルどおり、第一話で出てきたヴィラン(?)の魔女バーバヤガ(オリガ)がふたたび現れます。


第一話でわりとコミカルな感じに描いたので、もう一度味方として出してもいいな~と思っていました。そのため、第三話あたりでもちょびっと地の文出演しています。今回は、ちょうどいい感じに出せそうだったので出した、という感じです。ほかにも、魔女という立場を生かして最終話に必要な伏線の整理をしてくれたり、読者に覚えておいてほしい魔法の知識なんかを語ってくれたり、便利な回でした。楽しい回でもあり気に入って入るのですが、クライマックスにむけての緊迫感がちょっと足りなかったかも。


家のまわりに『目』が張られていることから、ジョスランがジェイデンの敵なのではないかと心配になってくるスーリ。オリガは、男たちのあらそいにかかわるなと警告します。


オリガはいかにも昔ながらの魔女って感じで書きましたが、スーリとの対比になって、なかなか良かったような気がします。彼女はべつにいいひとではないんですが、スーリがあまりにも抜けてるので、なんとなく放っておけなかったのかなという感じ。お姑さんとかお局さんとかにも、そういうタイプっていそうじゃないですか? スーリはそういうふうに、放っておけなさで味方を作ることもあれば、その隙にイライラして攻撃してくるタイプの敵を作ることもあります。(ジェイデンの母はじつはこのタイプ) このへん、リアナとは真逆の性格ですね。彼女はタフな為政者タイプなので、敵でも利用価値があれば積極的に手を組みに行く感じ。結果、敵のふところに飛び込むことになって周囲をはらはらさせるんですけどね。


そうそう、能力的にもリアナとスーリは対称にあって、リアナは能力的には主要キャラのなかでは弱く、はったりで世を渡っていくタイプ。スーリはメンタルは弱いものの魔法の力は作中でほぼ最強です。スーリみたいなヒロインのほうがお話自体はつくりやすい気がしますね。


ええと、わきにそれましたが『目』の話。


『目』はシリーズとおして重要な魔法アイテムで、第一話でオリガが使うほか、第二話でスーリが感じた悪意のまなざしや、今回のような監視道具など、さまざまに使われています。このへんは、小道具を統一することでわかりやすくしたいという思いがありますね。なので、初稿ではスーリの家のまわりを監視していたのはパトリオの犬だったのですが、『目』に書き換えて統一をはかっています。(おかげで、パトリオは慣れない魔法に指をケガしてしまいましたが)


スーリが基本的な魔法=生活魔法、あるいは補助魔法と呼ばれるものを使えない、というのは、クライマックスであかされる重要な伏線です。これ、気に入ってる設定なんですけど、読者からしたら「なぜいきなり魔女バトルがはじまるのかわからない」ってなりそうな気もしますね。スーリは補助魔法が使えないのではなく、第四話で使っている土や石の魔法がじつは補助魔法にあたる……という話でした。ひとつのどんでん返し要素なんですけど、たぶん第一部だけで書籍化するとかなったら、ここは削られる部分でしょうねw


後半の魔女バトルシーンについては、もうちょっとあっさり終わらせたほうがよさそうな気がかなりするんですが、このへんは趣味でなかなかやめられません。このあたりの伏線張りも、書いててすごく楽しかった部分ですね。


冷静に構成をふり返ると、序盤で出していない要素を後半であまり活躍させるのはよくないとは思ってます。読者を置いてけぼりにしかねないですもんね。完成度を高めようと思うなら、削ったほうがいいでしょうね~~。

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