4-7.パーティシーンの意図

4-7.魔法の夜


二回目のイドニ城。


近隣の村・集落と城は経済関係にあるという話をしましたが、秋の狩猟シーズンで貴族たちのために狩りの下準備をしたりするのも、村人たちの役目です。犬たちが通りやすいよう下草を刈ったりとか、道の整備とか、いろいろですね。ふつうなら村人たちの食料になるような森の小動物も、鹿などターゲットの餌になるので捕獲してはいけなかったり、いろいろな規制があります。そうやって協力してくれた村人たちへのお礼の意味を込めてのパーティですね。ジェイデンについてきた騎士や使用人たちにとっては、城や村の人々とのお別れ会の側面もあるでしょうか。


そういうことが中世にあったかどうかはまったく調べてないですが、あってもおかしくないよねという気持ちで押し通しています。このへん、参考にしようと中世ヨーロッパ関係の本とか読むと、逆に良くないんですよ(いちおう参考程度に読んではいますが)。たとえば『領主の館では○○という伝統行事がおこなわれていた』みたいな記述を見かけたら、「よっしこれを使うぞ~。じゃあキャラをここに立ち寄らせて……」とストーリーが引きずられてしまいます。ストーリーはストーリーでいったん完結させておいて、使える部分をピックアップするくらいならいいと思うんですけどね。過去の失敗からの反省です。


反省といえば、ジェイデンのまわりにいる騎士たちについては、話の筋にからめてもうちょっと書くべきでした。第四話の最後に急に出てくるので、唐突だったと思います。


序盤、広間にてフィリップとスーリの会話。フィリップと王妃の恋の噂は、終盤までかなり大事な情報になるので、ここでもう一回、本人の口からダメ押しに語らせておきました。


途中、ジェイデンとよその姫君が並んでいるのを見て落ちこんだりしているスーリ。このへんでは、スーリはもうジェイデンにずいぶん心ひかれている(ジェイデンの一方通行ではない)ということを明示したくて書きました。


このパートは、第四話のクライマックスにあたる4-9の前段階になります。もともとはもうちょっと主役カップルをからめるつもりで、それでパーティの場を選んだんですが、初稿のあとで構成を考えるうちに4-9を山場にしようということになり、こちらの話の重要性が下がってしまいました。フィリップとの会話も、じつは最初はジェイデンとのものだったのを書き替えたりしています。


変更したぶん動きが少なくなってしまい、ちょっと悔いが残る内容です。せっかくだからヨハンナと彼のラブをあともうひとひねりして、ジェイデンとスーリに手助けさせるとか、そういうアクションが入ってきてもよかったかもしれません。フィリップとの会話は削れるかも。そのへんは、ラストまで出してみてからまた考えます。


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