1-6.燃えおちる薔薇とボルヘスと

1-6.バーバヤガ


1話もクライマックス。老女がついに正体をあらわします。


『この薔薇を火中に投ずれば、それは燃え尽きたと、灰こそ真実だと、おまえは信じるだろう』『だが、よいか、薔薇は永遠のものであり、その外見のみが変わり得るのだ。ふたたびその姿をおまえに見せるためには、一語で十分なのだ』


ボルヘス『パラケルススの薔薇』からの引用です。錬金術師の、あのパラケルススですね。


国書刊行会の、美しい装丁のボルヘス全集のなかに入っています。青地に虎と薔薇の表紙。もう手放してしまいましたが、とても好きな本です。


バンドネオン奏者のアストル・ピアソラが好きで、そのつながりでアルゼンチン→南米文学をわりと読むようになりました。ドノソ『夜のみだらな鳥』を、タイトルに惹かれて読んだりとかw 


どうしても薔薇を出したかったのでジェイデンに贈らせましたが、ちょっと唐突でしたね。いちおう、前に「秋咲きの薔薇を見よう」と誘ってはいるんですけど。


最後のカットのためにバーバヤガに薔薇を燃やしてもらいましたが、これも唐突でしたかね~。冷静に考えてみると、ほとんどの魔女は燃えた薔薇をよみがえらせることはできません(幻覚はべつとして)。だから、魔法が使えるか確認するにはあまりいい方法とはいえないかな。伏線的にも重要なのではずせませんでしたが、ちょっとおかしいかもしれないです。


そうそう、バーバヤガが「同業者にほんとうの名前は教えたりはしないよ」とうそぶいていますが、べつに魔女全体にそういうルールがあるわけではありません。彼女は催眠とか幻覚が専門の魔女なので、他人をあざむくために本名を隠しているだけです。あとであっさり、王子に教えていますしね。

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