真っ直ぐに向き合ってほしい物語

人は、物事を都合よく解釈して現実逃避を図ることがしばしばあります。それがいかに罪深く、残酷で悲しいことかを突き付けてくる作品でした。

本作は王太子により追放を言い渡された聖女がとある真実を語るという物語です。
淡々と語られる事実は読者に重たくのしかかります。しかし、我々が目を背けようとしているものを彼女はその目で、耳で、手で確かに感じてしまった。現実逃避など出来るはずもなく、受け止めるしかなかった光景が高い描写力により目に浮かぶようでした。まるで、リアルタイムで彼女の話を聞いているかのような感覚がありました。


人によっては、読むことが難しい方もいらっしゃるかもしれません。ですが、私はこの作品に出会うことが出来て良かったと心から思います。
彼女の言葉を、どうか素直な心で真摯に受け止めてほしい。そう願わずにはいられない素晴らしい作品でした。

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