この作者の作品を読めー!(とシェリルのように叫ぶ)

カクヨミでランキングに登場する作品を読んでると、作者が女性か男性かを問わず、男の願望を絵に描いたみたいなヒロインばかりが登場するように思える。
ところがこの作者の作品に登場するヒロインは、男の願望とは90度違う。ツンデレ・ヒロインは180度反発していたのがある時突然0度になるが、現実は0度でも180度でもない。人生を共に生きようと決めた異性との順調な時ばかりではない生活、しかし運命を共にすることとなった者同士の繋がりとはそういうものではないだろうか?
この作者のいくつかの作品にはそんなヒロインが登場し、それが胸を打つ。このディストピアな短編ですらその片鱗が伺える。
主人公の妻は些細な発言で反政府ゲリラとして警察に捕まり、脳を機械化されたものと取り換えられてどこか知らないところで働かされている。夫の元には妻の脳だけが返されてくる。この作品で妻は思い出の中でしか登場しない。
家族との理不尽な別れはディストピア社会でなくとも起こりうる。それにはいかなる救いもない。


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