第5話『サボる』って言葉は、フランス語の『サボタージュ』から来てるから、時代劇に出て来るのは考証ミスなんだって!

 翌日……僕は初めて学校をサボった。


 僕は、今まで一度も仮病を使った事が無いので、母はすっかり信用して、休ませてくれた。


 ……ついに、輝かしき無遅刻無欠席人生に黒星がついたが、今はそれどころではない。


 僕とナメくんの、完璧なコラボ技『コンペイト』が、狭間さんの、塩のひと振りで、まさに溶けて流れてしまった。


 狭間さんは、まだ手加減してくれたから、ナメくんも無事だし、ナメくんに水分供与する設定にしていた僕も大事に至らなかったが、もしお相撲さんのごとく塩を大量にかけられたら二人とも瞬時にあの世行きだったかも知れない……。


 狭間さんの言う通り、そんな軟弱で『愚か』な考えの僕が『暗躍者クリープス』に立ち向かえる訳が無い。 白樺先輩や狭間さんを護る……なんて、どの口が言ってるんだ……って話だ。


 とてもじゃないが、もう恥ずかしくて、白樺先輩が迎えに来ても会えなかった。 ……白樺先輩は、僕を学校まで連れ出そうと粘ったが、僕の意志の固さに負け、ひとりで学校に向かって行った。


 白樺先輩……ごめんなさい……。



 僕は力無く机に突っ伏して、ナメくんに話しかけた……


「……やっぱり、たったひとりの人間の力なんて、何の役にも立たないのかな……」


 ナメくんは真剣な顔で、首を横に振っている。


 ……ナメくん、慰めてくれてるんだね。 ありがとう……。


 ナメくんは小さな目にいっぱい涙を溜め、その涙がキラキラ光っている。


 ……まるで、お星様だ……。


 そう言えば、ナメくんとの出会いは、僕が星に3回願いをかけた事から始まっていたんだっけ。


『人生はやり直せない。 だから完璧な人生を送りたい』


 ……これが僕の願いだったのに……『完璧な人生』どころか、まるで『不完全な人生』だ。


 ……僕にちからを与えてくれた『双子座流星帝国』の『パルフェ・クトゥール皇女』様も、さぞがっかりしてるだろうな……。


 ……僕は何気なく、机に一筆書きの星を描いた。 子供の頃、良く描いたっけ。 僕は手持ち無沙汰だったので、何個も何個も机に『お星様』の絵を描いた。


 ……僕……何やってんだろ……。


 仮病を使って休んでいるんだ。 大人しく横になろう。 ……僕は、ベッドに向った。


「にゅうっ! にゅう〜〜!」


 ん? ナメくんが何か叫んでいる。


 振り返ると……


 ……! な! 何これ!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る