第4話 みにくいアヒルの子……って……よくよく考えると酷いタイトルじゃない〜!?

 ……僕は、急に力が抜けて、近くの椅子に文字通りガックリと座り込んだ。


 ……物心ついた頃から、人の喜ぶ顔が嬉しくて、自分の事は二の次にして頑張って……それに疲れ果てて、ホンの少し『自分勝手に生きてみたい』と思って『後悔しない完璧な人生』を望んだだけなのに……。


 消されちゃう……なんて……。


 ……狭間さんが僕にそっと近づき、僕の背中に手を当ててこう言った。


「『消す』と言っても『いのち』とは限らない。 消されるのは貴方あなたの強力な『変革者イノーヴァーの力』……かも知れないし、あなたの『悩み』かも知れない。『記憶』かも知れない……。 いずれにしても『暗躍者クリープス』の使命は、貴方の『何か』を『消す』事なの……」


 ……僕の頭の中に『詭弁きべん』という単語が浮かんだ。 ……絶対に、僕の命は『暗躍者クリープス』って人に狙われてるんだ。 ……短い人生……だったな……。


 お父さんとお母さんの顔が浮かんだ。


 ……親孝行の一つも出来なかった自分が情けない。 ……つい、ポロリと涙がこぼれた。


 ……! ま、まずい! 僕が泣くとナメくんが、また涙を拭きに来て、手が溶けちゃう!


「狭間さん! ナメくんを掴まえてて!」……と、僕は泣きながら叫んだ。


 ……狭間さんは、ナメくんを抱き……笑顔を浮かべた。


 ……そして


「輪音君……やはり貴方あなたは……最強の『変革者イノーヴァー』! ……私は……いえ……は……貴方を……護ります!」


 ……『ガラガラッ』っと音がして、教室のドアが開いた。


 ええっ!? 時間…… 止まってるはずなのに!?


 ……教室に入って来たのは……


 ……!


 し、白樺……先輩……!?

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