第2話 説明的な文章は創作物には不可欠だけど、その分、不自然になるのは否めない。

「……つまり狭間さん……は、その『光り輝く男性』の命令で『世界の策定フォーミュレート』? をしている……と?」


 狭間さんはコクッとうなずいて、更に話を続けた。


「『策定者』には色々な種類があって、私は『変革者イノーヴァー』……つまり、貴方あなたの『監視』と『報告』が任務。 ……別の『策定者』は『報告』を分析して、危険な『変革者』の『処分』を行う任務を帯びている……。 また、更に別の『策定者』は『変革者』に『加担』して、更なる『策定フォーミュレート』を励起させる……と、多岐に渡るみたい……」


 …………


 ……じ、情報量が多すぎる……。


 ……唯一判った事は、狭間さんが僕を『監視』している……って事だ。


 ……? 待てよ?


 普通『監視』している人が「貴方の監視が任務」……なんて、監視しているに伝える? 警戒されちゃうのがオチだよ。


 ……僕は素直に、その疑問を狭間さんに伝えた。


 すると「……輪音君は最初から、真摯に私と向き合ってくれたから、そのお礼……」と言ったあと、少し間を置いて……


「……それと……私……ね……」


 ……挾間さんが真っ直ぐ僕を見た。 瞳が潤んでいる。


「……輪音君を……失いたくない!」


 ……! えっ?


 ……僕……失われるの? し、死んじゃうって事ぉ!?


 狭間さんが自分の席に戻り、マイケル・ジンジャー著『完璧な人生』をカバンから取り出して『著者略歴』を、無言で開いて見せてくれた。


 略歴の一番下には、このように記されていた。


『彼の動静をご存じの方は、編集部にご一報下さい。 相当額の謝礼を贈呈致します』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る