僕の大好きな彼女の話 (2022.2.25)

 それはそれは可愛い彼女だった。

 一目見たときから好きだった、というわけではない。でも少なくとも、一年間同じ部活に所属して、活動していく中で、僕は彼女のことが好きになっていた。


 ……前提。僕のこれはラブじゃない、ライクだ。

 確かにラブとして好きになりたい気もするが、生憎僕の体はバリバリの女で、嫁(彼氏)もいる。だから、ライクでしか好きになれない。

 そんな話は置いといて。


 それはそれは素敵な彼女だった。

 二年生になって、彼女は部の長として一生懸命活動していた。

 基本ドジっ子なのだ、彼女は。どこか抜けていたり、ちゃんと聞き取れてなかったりして。

 でも、責任感はしっかりあった。毎日最後まで部室に残って、どうすればより良い部活動になるか考えていた。

 そんな彼女のことが好きで、好きで、よく周りをうろうろしていた。無意味にではない。僕だって多分きっと、彼女の役に立ててたはずだ。


 ……まあ、その年嫁と彼女が同じクラスだったことは思い出したくもないがな。

 嘘嘘、あそこは天国でした。好きな人いっぱいの空間。


 それはそれは優しい彼女だった。

 初デートは三年生。終始グダグダだった。

 しゃぶしゃぶに行った。そしたら食べ過ぎだったせいか、彼女はそのまま戻してしまった。嘔吐だ。

 それの対応でわたわたして、わたわたして……楽しくなかったわけじゃない、好きな人と居れるのは嬉しいことだ。でも、思い出す度僕は申し訳なさの波に襲われて、溺れそうになる。


 ……実は、「僕ときみは友だちだ」と自信を持って言える人が少ない。僕は友だちだと思っていても、相手がそう思ってないんじゃないか。僕の一方的な好きなんだろうな。だって誰も「友だちだよ」と伝えてはくれないから。


 彼女は去り際、「しーちゃんのこと普通に好きだし、大人になっても会いたいと思ってるよ」と教えてくれた。「友だちだと思ってるよ、違う?」そう言ってくれた。

 彼女は僕が今まで出会ったことのない、可愛くて、素敵で、優しい、僕のこの「好き」と同じ「好き」を持ってくれている子だ。

 それが何よりも嬉しくて、嬉しくて、嬉しかった。


 そして、今。

 それはそれは大好きな彼女だ。


「しーちゃん、久しぶり!」


 年に二度ほど、抱き合って、デートして。

 大人になっても好きでいてくれる彼女を、僕はこれからも大事にしていきたい。

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