嗜好の重力!

いい意味で衒学趣味や性癖、そういった嗜好が渾然一体となって物語をドライブさせている。異能力の根源が「欲望」という設定自体はありがちだけど、その「欲望」にとてつもない深度や重力、強度があり、この物語のユニークさをつくりだしている。能力発動の演出もテキスト表現でありながら映像的で鮮やか。「能力を行使するたびに大切なものが失われていく」という、物語進行に従って喪失があるという設定、ミステリーを思わせる謎と伏線回収など、物語の構成が巧み。「それでも物語は続いていく」的なラストもすごくよかったです。

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