第6話血路を開く犬丸脱出の巻

 集まり続ける兵士、逃げる先にも既に兵士が回り込んでいた。


「くっ! 苦手だが手裏剣を使うしか…」


 懐から手裏剣を取り出して前方に立ち塞がる敵に投げる…しかし投げた手裏剣は天井に刺さる…そう!犬丸はどれだけ修行しても結局手裏剣を投げるのが下手なままだったのだ。


「仕方ない…刀で斬り伏せて逃げるしか…こんな方法…忍びらしくない!」


 その余りの悔しさに唇を噛む…

 そんな犬丸は敵を斬り伏せる、それは恐ろしい勢いで…城中には腕に自信のある者もいたが、そんな者たちも犬丸により一太刀の下に斬り伏せられていく…


「ぐわああぁ!」「ぎゃあああああ!」「ぬわぁあああ!」


 犬丸に斬りかかる者は全て断末魔の叫びをあげることになる…

 それははたから見ると巨体も相まって悪鬼羅刹そのものだった…


 この状況に指揮を執る者は、このまま近接で討ち取るのは無理と判断、近接から間接に切り替え、兵達に遠くから弓を射るように指示するが、犬丸は何か着込んでいるのか矢は弾かれる始末…

 こうなるともう手の付けようがなく誰も手出しが出来なくなる…結局城の兵士達は、逃げる犬丸を追いかけるのは無駄と諦めた。



 城からの追撃もなくなり、安堵する犬丸だったが…

 初の潜入は、潜入の発覚と、囲まれてしまったという不覚を取った所為で犬丸にとっては苦い失敗となったのだった…

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