9#愛する2匹のトラと青い風船

 ・・・・・・


 ・・・・・・



 「がう・・・」


 トラのショジは目を覚ました。


 「あれ・・・みんな・・・」


 気が付くと、トラのショジの周りには尻尾にあの大きな青い風船を結んだ愛妻のオマと、今までオマを探している時に逢った者達に囲まれていた。


 「ショジさん、あたし、ショジさんに飛ばされた時にこの皆で堕ちるとこを抱きかかえて受け止めたんだから!!」


 愛妻のオマは、尻尾に結ばれた浮力が抜けそうになって半ば浮いている青い風船を揺らせながらショジに嬉しそうに言った。


 「それに、俺たちがオマ姫を君が持ち上げる際に、君の身体を支えてバックアップしたんだから!!ねっ!!」


 「うん!!」「頑張ったな!!」「勇気あるねえ!!」「惚れ惚れする!!」


 黒ヒョウのアルダ、

 サーバルのワカ、

 カラカルのガヴァ、

 チーターのアポタとザンバ、

 ライオンのウルス、

 ユキヒョウのルロ、

 ジャガーのアニタ

 は、口々に激励の声を上げた。


 「ショジ!今さっき殴ってごめんな!やっぱり君には姫が一番ふさわしい!!」


 ヒョウのカタリは、トラのショジの身体をギュっ!と抱きしめてこう言った。


 「ありがとう。君の叱咤が無ければ、僕はここまでやれなかったよ。」


 「あ、そうだ!!」


 ヒョウのカタリは、徐に愛妻のオマの尻尾の風船を眺めた。


 「ちょっと・・・縮んでるなあ。俺が口で膨らませてあげよう・・・」


 「やだ!ヒョウの吐息は!膨らますには、あたしと、ショジさんと!!」


 「ぼ、僕?!」


 突然の愛妻オマの指名で、ショジが困惑した。

 

 「ショジさん!一緒にこの風船を膨らまそう!!割れるまで。」


 「えーーーー!!割れるまで!?」


 周りの者たちは一斉に歓声をあげた。




 ・・・・・・


 ・・・・・・



 この騒動がきっかけになり、トラのショジとオマの愛は更に深くなり、

 数か月後には、2匹の間に跡継ぎの子トラが産まれた。




 


 ~トラのジョシの風船騒動~


 ~fin~

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トラのジョシの風船騒動 アほリ @ahori1970

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