私以外全員α«アルファ»

( ᐖ )

«序章»「What?」

今、私はとても混乱している。


何故かって?


それはほんの30分前に遡る…


───30分前───


先週の月曜日に高校の入学式があった。


時の流れは早いものであっという間に1週間が経ち、部活の見学、仮入部が始まった。


「テニス部入ったらモテるよ〜?是非来て!」


「君の体格は柔道に向いている。さぁ、柔道部においで。」


「パソコン部に入ったらタイピング上手くなるよー。良かったら来てね。」


あぁ、うんざりする。


中学の仮入部の時にもあったな、これ。


私は他の女子に比べて背が比較的高い。

…というか、もうモデル体型と言ってもおかしくないぐらい身長が高い。

まぁそれに体重が追いついてないせいか

とても痩せてるように見える。というか痩せてる。


いや、それにしても柔道に向いてるってのは嘘だな。筋肉が少なすぎる。


…まぁどうせ私がΩだと知って、だろうが。


「あっ、はーい。失礼しまーす。」


私は運動部なんかに入らない。


だって運動神経が無い人が入ったらただの公開処刑じゃない。


私の本命は文化部の中でも運動系の部類に入るとされている…


「失礼しまーす、ここが吹奏楽部の部…室…」


そう、本命は中学の時にも入っていた吹奏楽部である。ここなら比較的αも居ないし、楽に過ごす事ができる…と思ったら


「あっ、新入生さん!?ちょっと待ってね、今ミーティング中だから。」


…やってしまった。

ミーティングの邪魔をするのは何よりもご法度に当たる。それを私は堂々とやってしまった。


「ぁ…あ…し、失礼しました!」


「あ、待って!別に行かなくてもいいって!」


部長に腕を掴まれ、そこで落ち着く。


「…良かったら、ミーティング見てく?」


「…良いんですか?」


「ぜーんぜんいいよ!寧ろ大歓迎!

私達にとってはミーティング邪魔された事より新入生さんが入ろうとしてくれてる事の方が大切だからさ。」


「あ…じゃあ、遠慮なく…」


そう言われ入口付近の椅子に座る。

あぁ、なんか懐かしいなぁ…とも思いながら。


「それじゃあ、新入生さんに教えてあげようか、色々。」


「あ、あのっ…私中学の頃から吹奏楽部に入っていて!」


「いや、そういう事じゃない。

…多分、貴方αが少ないからって思ってここに来たでしょ?」


ぎくり。

何故それを知っているんだ…


「あ…あ…あの…すみませんでした!」


「いやいやいやいや、全然謝らなくていいんだけどさ、ちょーっとその期待裏切ることになるかなぁって」


…嫌な予感しかしないのだが


「実は…ここ吹奏楽部、今の所全部員αなんだよねぇ…w」


一応ここで説明しておこう


現在の日本の出生率は

Ω約1%‪α約10%β約80%

とαも結構出生率が低いのである。


その中でも女子Ωは凡そ0.01%しか産まれてこない。


だから行く学校を選択できるってのもあるが、Ω・α・βともに全寮制であり、発情期には隔離部屋に入れられる。まぁそれはどこの学校も同じなのだろうが。


この学園の全校生徒は

約0.1割がΩ、約1割がα、約9割がβな筈…


αだけの部活って相当希少性高くないか…?


「勿論、今迄はΩやβも入っていたよ。

…それが何故か今ではΩやβが段々少なくなっていって最終的にαだけになった。

…そりゃあまぁΩからしたらαだけの部活になんか入りたくないしβはほぼ帰宅部だから意味ないしね。」


「は、はぁ…」


そして現在に至る結果となった。


「そこでだ」


「はい?…えぇ、ちょ、ちょっと!?」


「頼む、この通りだ!

君の周辺護身もするし、絶対に襲ったりなんかしない!

だから…だから吹奏楽部に入ってくれ!」


「ちょっ、ちょっと頭上げてくださいよ!」


最初から何があろうと入るつもりで来た為、この事態は予測していなかった。


…この私より15cmは低いであろう身長の女性もαなのかぁ…


「…取り敢えず、私は何があろうとここに入るつもりで来たので、何も頭下げなくてもいいですよ。」


「ほ、本当!?やった!

…いや実はね、Ω1人は部活に入れないと廃部になる的な事を宣告されてさ…」


あ、成程。

そういう事だったのね。


「まぁ、取り敢えず仮入部してからですね、入部手続きは。」


「そ、そうなるね。ありがとうね…」


「まぁ別に最初から入る気で居ましたし。」


取り敢えず、1つ分かったのが


…絶対これから面倒な事になるって事。





序章─完結

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私以外全員α«アルファ» ( ᐖ ) @ai_gairi

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