第6話



 店の中から、鶏の首を絞めたような奇声が響いた。トキの声だった。


「え? え? 何が起こってるの? ねぇ、トキ! トキってば!」


 ウズメが取り乱して扉を激しく叩く。すると再び店のドアが開いた。


「そこ、どいて!」


「ぎゃ!」


 飛び出してきたのはトキだった。ウズメを弾き飛ばすと、焦った表情でどこかへ駆けて行ってしまった。


「いてて、何なのよう、もう! あっ!」


 暗闇から伸びる手に腕をつかまれ、体制を崩すウズメ。そしてトキと同じように一気に店内へと引き込まれる。


 そして再び天の岩戸の鍵が閉まった。


「ヒェェェェェ!」


 ウズメの叫び声だ。トキと同じぐらいびっくりしている様子だった。


 業を煮やしたスサオが。扉につかみかかる。


「訳がわかんねぇ! こうなりゃ、こんなドア、ぶっ壊してやる」


「止めなさい!」


 カネミママの凄みの効いた声。思わずスサオを振り向かせる迫力があった。


「ま、魔女?」


 全身から黒いオーラが涌き出ているみたいだ。ママの背景が真っ暗だ。


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