第2話



「ふたりとも何してるのさ?」


 ぴりっと通る声。バイオレットカラーのブリーチと背の高さが目立つが、しなしなと腰をくねらせてやって来た。


 店のNo.2、トキ長鳴だった。小顔と首の長さのせいで、第一印象はどこか鳥を思い出させる。


「トキ、あんたに店の鍵、渡さなかった?」


「知らないよ。あたしゃ、昨日はあんたらより先に帰ったからね。ウズメ! お前が無くしたんじゃないのか?」


 トキの見下す言い方に、ウズメNo.3が怒って反論した。


「やめてよぉ。いつも悪いことばっかり、私のせいにして……この鳥男!」


「なんですって! あたしゃ女だよ!」


「やめなさい、2人とも。オカマの喧嘩ほど見苦しいものはないよ」


 カネミママがぴしゃりと言った。


「だってぇ」


 ぶりっ子するウズメを無視して、ママが歩き出した。


「どこ行くのさ?」


「突っ立てるわけもいかないし、向かいの喫茶店で時間潰そうよ。あそこの窓際ならうちの店が見えるじゃない。誰か出勤してくるのを待ってればいいさ」


「誰かって……この3人以外? あと来るとしたら黒服のテジオ天力男ちゃんとー最近休みがちなスサオ須佐男くんとー」


「もうひとりいるじゃない」


 カネミママがタバコに火をつけた。


「あー確かにいるわ」


 トキが苦々しげに言う。


「うちのNo.1のキャスト、テラちゃんがね!」


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