第15話 眠れない夜に何気ない会話を

 「裕司、今日もありがとね。」

 「ユージお兄ちゃん、ありがとう。」


 夕飯を食べ終わり、穂香達の両親が家に帰ってきた頃二人も家に帰っていった。家に静けさが戻る。そんな時、ああ俺は一人なんだ、そう感じてしまう。この家で穂香の存在の大きさを物語っている。

 そういえば、いつだか涼と美萌が家に来るとか言ってたか。あいつらが来るまでに家を掃除しておかないとな。


 風呂に入って寝間着に着替えて部屋に行ってベッドに入る。寝ようとするがなかなか寝付けない。なんだろう。人一人分の空間があるような気がする。そのせいで春になるというのに微妙な寒さを感じる。今までこんなこと無かったのに…。

 そんな時、スマホが鳴った。


『もしもし、裕司?』


電話の相手は穂香だった。


「どうしたこんな夜中に。何かあったか?」


『あ、いや、ちょっと寝付けなくて。』


「奇遇だな。俺もだ。」


 まさか穂香も同じ状態か…。


『なんかね、普通に寝てるはずなのにベッドの中に変な空間があって、そのせいで微妙に寒いんだよね。』


「マジか、俺も同じ状態なんだよ。」


『えっ、そうなの?』


「ああ。」


 どうしちゃったんだろうな、俺達。


『もしかして、今日の添い寝のせいかな?』


 そう穂香が言って納得した。確かに、幼稚園児だった頃は今回のように添い寝の形で寝ていたが、今ではしなくなったため懐かしいと思ったのかもしれない。


「ああ、そうかもな。」


『ごめんね、あんなことしちゃったばっかりに…。』


「それはお互い様だろ?」


『それはそうだけど…。』


何を口籠る必要があるのだろう。


「それはそうと、俺を抱き枕にして気持ち良く眠れたか?」


『い、言い方!…うん…まあ結構ぐっすりと寝れました…。』


「だったらまた俺のこと抱き枕にしてもいいぞ?」


 言いながら思った、何言ってるんだろうって。俗に言う深夜テンションってやつなのだろう。

 そして俺の提案から少し間があったあと、


『本当にいいの?』


若干遠慮気味に聞き返してきた。


「ああ、男に二言は無い。」


『やった!』


 まあ穂香が嬉しいならそれでいいか。


『そういえば、美萌ちゃんと涼くんが裕司の料理食べたいって言ってた。』


「なんで急にそんなこと。」


『いや、実は今日撮った写真にあったケーキがどこのケーキ屋のものかって話になって、裕司が作ったって話したら今度は裕司の料理の腕の話になって、そしたら今度裕司の家に行った時に食べたいってことになったの。』


 マジか。単純に考えればすごく面倒くさいことだな。まあ料理をすることは嫌いじやないから別にいいんだが…、


「タダであいつらにメシ食わせたくねえから、家に来た時に宿題をちゃんとやるっていう条件を受け入れてくれるならばいいって伝えておいてくれ。」


『ふふっ、了解。』


「あと、料理する時に穂香の手も借りたいんだがいいか?」


『うん、分かった。』




 そうこうしていると、だんだんと眠くなってきた。


「そろそろ寝るわ。」


『うん、私も眠くなってきたから今日はもう寝よっか。』


「ああそうだ。明日家の中掃除したいから手伝ってくれないか?」


『手伝ってあげるけど、今回のご褒美は?』


「宿題の手伝いと抱き枕でどうだ?」


『のった!』


 チョロいな。


『じゃあ明日よろしく。』


「ああ、おやすみ。また明日。」


『おやすみ。また明日。』


 そうして電話を切って眠りについた。

 寝始める頃より心が温まったように感じた。




そして3日後、家に新しい客がやって来た。






〈あとがき〉

 次回、涼と美萌の襲来と裕司と穂香のおもてなし!


早く☆100に到達したいです!


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