第2話 みんな羨む、俺悲しむ2

 みんなが俺たちを見つめている。


「どうしたの?すごく読みにくいんだけど。」


 我慢ならなくなって俺はみんなに言った。

すると男子グループの一人が言った。


「どうしたのじゃねえよ!毎日毎日学園のアイドルとイチャついてるとこ見せつけやがって!みんなそれ見て悶えてんだぞ!」


今出た「学園のアイドル」というのは穂香のいわば二つ名のようなものだ。穂香は見た目がすごく可愛く、スタイルも人当たりも良いので1年の人だけでなく2年や3年の人からも一目置かれる存在なのだ。


「見て悶えてるなら見なけりゃいいじゃん。」


「見てなくてもお前らの幸せそうなオーラでやられてんだよ!」


「兵器かよ」


「っていうか小池さんもなんで毎日伊藤とくっついてるんですか?」


急に話の矛先が穂香に向いた。


「えー、なんでって言われても裕司すごく温かいし、こうやってるとすごい幸せな気持ちになれるんだよねー。」


穂香は少し頬を赤くさせながら抱きしめる力をさらに強くする。


「穂香のほうが温かいと思うが。」


「えー、そう?」


「そうそう」


「後ろからじゃよくわかんないからさー、裕司、ちょっと私の前にきて。」


「何するつもり?」


「お互いに前から抱きしめて確かめるの。」


 なるほど名案だな。そう思った俺は読んでいたラノベを閉じ、立ち上がって穂香の前に立つ。


「じゃあ行くよ。」


穂香がそう言って俺の胸に飛び込もうとしたその時-------


「はーい、ストップストップ。」


その声が聞こえたと思うと、俺と穂香の距離がそれぞれ強引に引き離された。


「なんだよ涼、なんで止めたんだよ。」


俺は俺を穂香から離した人、松原涼(まつばら りょう) に聞いた。


「このままだと周りが焼け野原になっちゃいそうだったからね。」


そう言われて俺は周りを見ると、全員顔を赤くしながらこちらを見ていた。


「毎日こうやって火事が起こってるから気をつけろよ、ユージ。」


どうやって気をつけろと言うんだ。わからないから困っていると言うのに。


「ほのちゃんも気をつけてね。」


穂香も穂香を俺から離した栗原美萌(くりはら みなも)から注意されていた。


「うん…。」


 穂香は顔を真っ赤にしながらうつむいた。なぜそれほど真っ赤になるんだ。

 そんな疑問を残しながら、予鈴とともにグループから散った人々を連れていつもの学園生活が始まる。






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