第12話 諦めない心

 第12話 諦めない心


 魔獣がまるでもてあそぶかのように何度も霧の刃を放って行った。


「・・はぁはぁ、なんだよ、あの魔獣。俺たちのことをただのおもちゃみたいに扱ってやがる!」


「・・・仕方ないよ。あいつはこっちより強いんだし。それに、攻撃は範囲が広いから。」


「お兄ちゃん、あの技を撃った後1.5秒ほど硬直があるよ。」


「いつの間に時間測ったんだ?」


「おい、そんなことは気にするな!また来るぞ!」


 合計5回もの霧の刃を放ってきたが全てを躱す事ができた。だが、確実に体力が削られていき、防戦一方となっていった。

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 リュール達がNo.15の攻撃を避けていってる中、別のエリアでは。


「負傷した者はすぐさま術式で回復しろ!」


オルフェウスが指示を出し、教会の騎士達もやはり防戦になって行った。


「隊長、このままでは全滅してしまいます!」


「わかっている!だが、このままにして置くわけには行かないのだ!」


極魔獣に対する恐怖が騎士達の判断力を低下させて行き、少しずつ統率が取れなくなって行った。

(そろそろ、1人殺って行くか。さっきのあいつ以外を別の方法で殺ろう。)

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 教会の騎士達がNo.7と交戦中、別の場所で。


「・・・さて、そろそろ反撃と行こうか!」


「そうだね。動きが遅くなってるし、防御の形が出来てきたから攻めに行こう!リューラ、サポートお願い!」


「分かった、お兄ちゃん。」


No.15に霧の刃を何度も使わせたことで少し動きが緩慢かんまんになって行った事で攻撃に転じようとしていた。


「よくも俺たちを遊びやがって!100倍にしてぶっ倒したやる!」


煉貫剣蛇毒れんがんけんじゃどくを下段に構え突風の如く詰め寄った。

(お父様はNo.7以外は倒しても問題はないから倒してもいいぞ。と言っていたから怪しまれないように倒そう。)


「僕も行くよ!リューラ、水鏡にしてサポートしてくれ!」


「わかったお兄ちゃん!」


慣れた手つきでオレンジのクリスタルから青のクリスタルを付け替えて詠唱を始めた。


「アクウティウス・ウェーブ・クゥオーツ・ブレス」


激しい水流が魔獣に襲いかかり、霧の刃とぶつかり合い、刃の進行方向を変えた。


「今だよ!お兄ちゃん、ザザ。」


「ナイス!喰らえ!毒牙刑湖どくがぎょうこ!」


「・・・はぁ!紅蓮残火ぐれんざんか。」


毒をまとった8と炎をまとった3を見事な連携で全ての斬撃を命中させた。


「・・っし、手応えはあるな。」


「そうだね。・・そういえば8連斬使えたの?」


「あぁ。でも後1、2回が限界だな。」


「わかった。あんまり使わない方がいいかもね。」


「・・・でも、出し惜しみして負けたくはないから出来る時は使うからな!と言うかお前も使えるだろ5。なんで使わないんだ?」


「・・・・今使っても倒せないかもしれない。だから確実に倒せるとき以外使わないほうがいい。」

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