第32話 女の子に〇〇〇〇思〇〇〇〇〇たら霊が〇〇見〇〇〇〇〇〇た話 下
ここからの話は私もハッキリとは覚えていませんし、少し前に思い出した事なので曖昧かも知れません。
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翌日私はイヤな感じと共に起きました。内容はあまり覚えていませんでしたが悪夢を見たという意識だけは残っていたのです。
「お父さん・・・?阿部さんも出て来たような。・・・っと、汗が凄いですね、お風呂に入りましょう」
その所為でしょうか、起きると寝汗が凄かったので私はお風呂に入る事にしました。本日は土曜日、学校もお休みだったのでゆっくりお風呂に入る事にしたのですが、入って少しした時に声をかけられました。
『おーい優』
髪を洗っている真っ最中だったので、シャワーだけ止めて目を瞑りながら私は返事を返しました。
「なんですか?」
『すまないが上がったらお使いに行って来てくれないか?買う物はリビングにメモを置いておくから』
「解りました。後で行ってきますね」
お使いを頼まれたので、ゆっくりお風呂に入るのを止め普段通りに済ましてリビングへ行くと、机の上にメモが置いてありました。
「ブルーシートにゴミ袋、鋸に鉈・・・日曜大工でも始めるんでしょうか?他に書いてあるのもそんな感じの物ですし」
何時の間にそんな趣味を?と思いましたが、買って来てほしいと言われたので買いに行く事にしました。
このラインナップならホームセンターで全て揃うと思い、私は自転車でホームセンターへと向かいました。
ホームセンターへ行くとメモを見ながら品物を揃えレジへ行き、ココのお店は有料ですが配達も受け付けているので、お会計ついでに予想外だった大きな品物の配達を頼むことにしました。
「いらっしゃいませ、・・・・・・円になります。ポイントカードは御座いますか?」
「ないです。あ、これだけ配達お願いできますか?」
「かしこまりました。ポイントカードはお作り致しますか?」
「ん~・・・お願いします」
「かしこまりました、ではお会計後あちらのカウンターへどうぞ。あちらで配達の受け付けも致しますね」
「解りました」
私はお金を払い、案内されたカウンターで手続きを行いました。何の問題もなくポイントカードを受け取り配達の手続きを済ませると、持てる品物だけ持って家に帰りました。
「ただいまかえりました。お父さん、あんな大きな物があるんだったら車で行ってくれたらよかったのに・・・っていませんね」
父に帰って来た挨拶と買い物に対しての文句を言ったのですが、返事がありませんでした。どうやら出かけている様でした。
私は買って来た物をリビングの片隅に置き、自室へと入って机の上に教科書を広げました。
「ええっと・・・先生方から聞いた範囲は・・・」
私は予め授業でやる範囲を先生方から聞いてきたので、その範囲の確認をすることにしました。勿論後で人にノート等は見せてもらいますが、自分で教科書を確認する事も大事だと思ったからです。
勉強を始めてから1時間程経った時、部屋の外から声をかけられました。
『おーい優』
「なんですか?」
良い感じに集中していた私は教科書を読みながら返事をしました。
『すまないが用事で出て来る。帰りは遅くなるしご飯も食べて来るから、すまないが今日は一人で食べてくれ』
「はーい、解りましたー」
返事を返すと私はそのまま勉強を続け、教えてもらった範囲の勉強が終わる頃には夜ご飯の時間になっていました。
「そういえばお父さんはご飯要らないって言ってたんでしたね。ならサッと作ってしまいましょう」
勉強中にそういえば声をかけられたなと思い出した私は、自分の分だけでしたので軽く食べられるものを作りご飯を済ませました。
ご飯を食べた後はテレビを見たり友達とコネクトでメッセージのやり取りをして夜を過ごし、いい時間になるとお風呂に入ってベッドに入ったんですが、何かを忘れている気がしたんです。
でもそれが何かは思い出せなくて、意識が落ちるまで思い出そうと頑張っていたんですが、結局思い出せずに寝てしまいました。
そしてその日からなんですが、私に異変が起こりました。
毎朝起きると悪夢を見ていた事を思い出し、意識に霞が掛かって思考が曖昧になる様になりました。
その結果、日曜日から水曜日までの四日間、毎朝起きると『お父さんと阿部さんが出て来る』悪夢を思い出してはボーっと過ごす日を繰り返しました。
今ではその内容も思い出せるし、原因も解りますが・・・
悪夢の内容は思い出したくありません。
でも・・・最後の悪夢だけは・・・話します。
それは・・・こんな悪夢・・・いえ、現実でした。
私は片手に袋を持ち、父の部屋の前に立っていました。
そして本来なら鍵がかかっている筈の部屋の扉を開き中へと入ると、中には父が椅子に座りぐったりとしていました。
「・・・」
「意識あらへんけど大丈夫か?ってまぁ俺がそうしたんやけどな」
私の口で私ではない人が父に喋りかけましたが、何らかの力とそれまでの仕打ちにより父には意識がありませんでした。
「そろそろ俺の気もすんだしお前の体も限界やからな、今日はお片付けしよと思てな?そろえた道具持ってきたで?」
そう言って持っていた袋から色々なモノを取り出しました。
それはまるで日曜大工でもするかのような道具で・・・
お片付けを始めたのです。
『あぁ~クソ、切りづらいなぁ。
んん?こうしたらええんか
それでこうして・・・
こうやな
ふんふ~んんん 後ハ こノ 箱 ニ ツメ る ダケ』
私ではない私は父を・・・バラバラにして箱に詰めました。
『ぁあ ああ aAa A Aあァァアア・・・あHAはハハはHAはああぁぁ・・・・あぁ~、パジャマが・・・まぁええか』
『んん ん?? あぁぁあ かんあか ん 優ちゃん の意識 ちょっ と 出てもうてるやん。あ、そぅゃ ええ事 思いついた ちょっと記憶をイジって っと ・・・ 』
そんな声と共に私の中の記憶はぐちゃぐちゃになっていきました。
最近の記憶も、自分自身の認識も・・・
同時に自分が忘れていたような記憶も出てきましたが、それもまたぐちゃぐちゃになりました。
そして・・・
『う・・・嘘だろ!?高2にもなっておねしょだなんて!?
うう・・・
・・・え?なに・・・これ・・・?
な・・・なんで・・・血・・・?俺・・・一体?』
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「・・・」
「・・・」
優はそこまで話し終えると、終わりとばかりに口をつぐんだ。
涼真もあまりの事にかける言葉もなく押し黙る。
二人は暫く無言でいたが、「ふふ・・・」と優が力なく声を漏らした後に呟いた。
「これが、女の子になったと思ったら霊が見える様になった話・・・いえ、女の子になったと思いこまされたら霊が再び見える様になった話、です」
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作者より:読んでいただきありがとうございます。
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