第36話 ある男の過去2

どんな女の子より可憐で・・・

どんな女のよりもおしとやかで・・・

高嶺の花だった俺にとって花だ。

そんな花をこの手にいれてから僕の生活

いや人生はさらに輝いた。

ひとつ意外だったのは

彼女が好奇心旺盛だったこと。

しかし

それも些細なことだ

むしろ僕の世界を広げてくれた

たくさんの場所にいき

たくさんの写真を撮った。

見たことのない彼女の一面・・・

それをたくさん写真に写して閉まった。

そして僕はそんな彼女をあたたかく優しく包んだ。

彼女も笑顔で答えてくれる。

うれしかった・・・

毎日が本当に短い。

彼女を考えると胸が張り裂けそうだ。

いやもう考えなくても彼女はすぐ横にいるのだ!

それだけで・・・それだけで・・・

幸せだった!!!

彼女がいる世界に僕もいるのだ!!

運命の二人・・・

きっとこれからもいっしょだと誓った

心の中で・・・・

・・・・・・・・

今日から一人暮らしをすることにした。

理由は簡単

彼女と生活するためだ。

だからすこし広い部屋を選んだ。

外観はぱっとしないがきっと彼女も気に入るだろう

だって僕と一緒に暮らすのだから。

でも彼女は奥手でシャイな娘だ。

それに彼女の両親も彼女のことを大切に思っているだろう。

だからはじめは一人で暮らす。

でもすこしつづ彼女とこの部屋で過ごす時間を増やした。

そんな風に思っている。

ああ、早く君と過ごす・・・

そんな日々が来ないだろうか?

だめだめだ・・・

焦るなんてそんなのはいけない・・・

それに焦ることはないのだ・・・・

だって僕たちは運命を共にする二人・・・

時間はいくらでもあるのだ。

焦ることは・・・

焦ることはないのだ・・・

・・・・・・・・・・・・・

今日はやっとこの部屋に彼女が来る。

彼女はずっと

「いきたいな」っと言っていた。

それが今叶う。

ガチャ

ドアを開ける

そして

「お邪魔します!」

彼女は嬉しそうにいった。

「さぁ、入って」

僕もうれしくて声が弾む

彼女はこの部屋に興味津々で入ってからずっと

そわそわしていた。

あちこちを見て回って楽しそうにしていた。

この日のためにきれいに掃除しておいた。

彼女がくるのに汚い部屋ではとても迎えいれることなどできない。

大きなところはもちろんだが

隅の隅までゴミを取った。

棚の上や家具の上・・・

テーブルや彼女が座るであろうところまで

本当に徹底的にやった。

ほこりなどこの部屋にあってはならない・・・

彼女を汚すようなことはあってはならない・・・

そのかいあってか

「わーきれいな部屋!!!」

喜んでくれた。

だがこれは想定内・・・

もっと彼女の笑顔を・・・

「あの実は・・・」

そういってちがう部屋に一度隠れた

「・・・?」

彼女はすこし戸惑っていたようだが

すぐに変わる

「え!?」

驚きと喜びそれが入り混じったそんな顔

その顔の前に僕はあるものをかざした

「ああ!!きれい!!!」

「これを君に!!」

「本当に!?ありがとう!!!」

すごく喜んでくれた

僕は用意していた花束を目の前に出したのだ。

そしたらこんなにも笑顔になった。

思った通りだった。

彼女にぴったりだと思った。

そう花・・・・

花は彼女にぴったりだ。

僕は彼女を花だと思っていた。

きれいな花・・・

初めて会った時から彼女は花だった。

可憐でおしとやかでたおやかで・・・・

とてもとてもきれいであった。

そんな彼女を花だとずっと思っていた。

だから彼女に送りたかった。

花束を・・・・

だが

僕は間違えていたようだ・・・

彼女は花・・・

ではおさまらなかった。

彼女が花を抱えて喜ぶ彼女はそれ以上の美しさであった

僕のあげた花束がかすんでしまった。

それほど彼女は美しくて可憐で・・・

さまざま色の花たちですら

彼女一人の美しさには敵わなかった。

彼女の笑顔は花以上に華やいでいて

それでいて・・・

もうなんて言えばいいのか・・・・

美しいなんてもうありきたりで

それでいて

ああ・・・

言葉とはなんと数が少ないのだろうか?

彼女を形容する言葉がたりない。

今ここにいる彼女はもう・・・・

この世の言葉で表すことができないほどに・・・

うん・・・

素敵だった。

花を抱えて子供のように喜ぶ彼女は本当に・・・

本当に・・・

「これ飾ろ?」

そういって僕に花束を渡してきた。

「そうだね」

そういって花束を受け取った。

そして用意していた花瓶に移した。

その花瓶をテーブルに・・・

「きれいだね?」

「うん」

そういうと

彼女は花瓶に飾られた花束に目をむいけて満足そうに微笑んでいた。

そのあと彼女は長らくそうしていたが

ずっとはそうしてなかった。

初めて来た僕の部屋に興味を向ける

いろいろなところを見て回る

そこも

あそこも

全部見ていた。

でも大丈夫どこもかしこも僕はきれいに掃除した

それにおかしくないか

何度も何度も確認したから大丈夫・・・

すると

「あ!これ!!」

一冊のアルバムを手にとった

「そう・・・それは君との思い出だよ?」

そういってともにアルバムを広げた

「あ、これ・・・」

「うん」

「これはあそこの・・・」

「そうだね」

そういって

一枚・・・

一枚・・・

丁寧にめくり

ともに思い出に浸った

「あの時は・・・」

「この時は・・・・」

いろいろな言葉が二人の思い出を彩る

彼女の言葉に相打ちをうちながらも

僕も思いにふける。

本当にいろいろなことがあった・・・

しかもそれは本当に一瞬のように感じた。

そしてこの写真のように彼女のいろいろな顔を見た・・・

めくっても

めくっても

どれ一つとして同じものはない・・・

一瞬一瞬すべてが違って・・・

すべて新鮮で・・・

きっと同じようにこれからも

僕は君と生きていくと思うと素晴らしいことだと感じた。

そのとき彼女は一枚写真を手に取っていた。

そしてこそこそとなにかしている。

「どうしたの?」

彼女に問いかけるが

「ふふふ、ひ・み・つ!」

とおどけている

「そんな、秘密なんて・・・見せて?」

「ダーメ!!秘密なんだから!!」

僕はしょうがないという風にあきらめた。

でもそんな風におどける彼女のもとても素敵だった。

だからもっと見ていたい気がしていた。

なんというかこういうのはきっとかわいいというやつなのだと思った。

彼女の行動一つ一つがすべて魅力的で

何度見ても

何回接していても

飽きない。

彼女は僕にたくさんのことを教えてくれる。

今までの人生がまったく意味をなさなかったかのようにすら感じる。

彼女と出会ってから僕の世界は色がついた。

今まではすべてが灰色・・・

いや光すらあたってないそうとすら感じた。

毎日が単純な行動の繰り返し・・・

寝て起きて学校に行って帰ってきてご飯を食べて寝て・・・

そんな感じ。

そこに両親がいてなにも不自由のない生活だったと思う。

平凡とはすこし違うと感じる。

わりと裕福というやつだろうと思う。

だがそんなことは僕にとっては些末なことで

それを鼻にかけて生きていくほど僕は傲慢ではない。

なぜならこんなのは偶然というやつで

たまたま僕はお金という面で困ることのない環境に生まれただけ・・・

なにも誇れることはない。

それに自慢にもならない。

だってそれは両親がなしえたことであって

僕はそれに付随した存在でしかないのだから・・・

だが彼女は違う・・・

だって運命なのだから

彼女は僕がこの目で見つけて

僕がこの声で話しかけて

僕がこの手で手繰り寄せて

そうやって今こうやって二人でいるのだから・・・

たまたまとか偶然なんて言葉が介入する余地なんてないのだ・・・

そして彼女はこの僕の世界をきれいな色でたくさん視界を彩ってくれた。

彼女がいなかったあの世界とは比べ物にならないほどに

僕の世界は・・・

僕の世界はきれいになった。

その世界で彼女ははしゃいでいた。

そしてアルバムを一通りみてそのまま戻していた。

彼女が視界からほんの少し消えた。

なにやら向こうで何かしているだが・・・

彼女にはこの部屋を好きになってほしい。

今のうちにたくさんみて

たくさん触って

そして

気に入ってほしいと心から感じた。

それからすこししてもう帰る時間・・・

本当にあっという間だった・・・

できることなら彼女を引き留めて

このまま二人での生活をしていきたい・・・

だがそんなことをしたら

彼女が困ってしまうだろう。

僕は彼女が困ることはしたくない。

彼女にも両親がいるのだ。

こんなにきれいな女性だ。

きっと両親も心労が多いだろう。

普通の男ならきっと彼女を困らせることばかりするだろう。

だが僕は違う。

そんな連中とはまったく違う。

僕は理解のある男だ。

分別というのをわきまえている。

だから今日は彼女をこころよく見送る。

彼女は手を振っている。

それに僕も答えて手を振った。

また早く出会える・・・

そうすぐに会えるのだ。

しばらくの辛抱・・・・

それだけだ・・・・

・・・・・・・・・・・・・

この部屋に来てどれぐらいだろうか?

日がたつにつれてこの部屋に彼女の気配が多くなる。

物が増えていった。

彼女がこの部屋にくる頻度が多くなった。

いいことだ。

この部屋に彼女がなじんでいくというのは単純に彼女との生活が近くなっている

そういうことである。

それにこの部屋に色がついていくそんな気がした。

そしてこの日ついに彼女が泊まっていくことになった・・・

なんだか急にそうなったが・・・

きっと彼女の両親が許してくれたのだろう。

やっと認められたのだ!

よかった。

そして今日は本当に特別だ。

彼女が料理を作ってくれる。

家庭をお互いに体験する特別な日・・・・

彼女の背中をみて

近い未来を見る。

きっと彼女はこうやって近い未来この部屋でこうやって料理してくれる。

そして僕の帰りを待ってくれる

僕が社会という不毛の地に出て彼女のために疲れ果てたとしても

彼女がこうやって癒してくれるのだ。

彼女は優しく言ってくれるはずだ。

「おかえり」と・・・

今日はその予行演習。

彼女はどんな料理を作ってくれるのだろう。

彼女とどんな話をしよう。

考えがぐるぐるとめぐる。

楽しい時間は流れていった。

夜・・・

彼女がいる夜・・・

楽しい楽しい夜・・・

彼女は笑い

僕も笑った。

夜は更ける。

彼女と一緒の夜

その時初めて彼女の裸を目にした。

きれいだった。

まるで美術品のような体に僕は思わず見とれていた。

彼女は恥ずかしそうにしていた。

でも彼女から目を背けることはなかった。

近づく距離

近づく顔

手に取る彼女の体・・・・

すべてが・・・・

すべてが・・・・

僕の感情を揺り動かし

そして・・・

一つになる。

夜は・・・・更ける・・・・

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