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そして現在(いま)に戻る。
回想終わり。
回想ってなんだよ。
「おい! 聞いてんのか! ボーッとしやがって!」
「もー、聞こえてるよ卯月ちゃん。回想してただけさ」
「なんだよ回想って……」
「それな」
そんな彼女だが、今日は彼女もお祭りのスタッフ。
しっかりと羽衣は(僕に負けたのを理由に無理矢理)着てもらってる。
先週知り合った、桃源楼の若い従業員の女の子の一人。
──あの後、他の若い子達とも(全体の四割ほどは)仲良くなって、卯月ちゃん同様今日は率先して手伝いに来てくれたが……。
「いいか? 今日だって、お袋から要請があったから俺らは手伝いに来てんだからな? お袋が世話になってる相手が祭りの提供先っていうから、だ」
「手伝うのが億劫なら別の仕事して貰っても良いんだぜ? 具体的には『少年がお祭りで迷子になって謎のお姉さんと出会いちょっぴりエッチなひと夏の体験をするジュブナイル』な脚本を既に用意してある」
「どんな仕事だよ!」
「バタフライエフェクト的な流れでその少年が将来凄い発明家になるという占い結果が出ててだね」
「他の女にやらせろ! 今は祭りと他の若い奴らの話してんだ!」
ああ、そうそう。
今日は若い衆がみんな来てるようだけど、まだ、残り半数以上の子達との関係は良好とは言えない。
面倒くさいゆとりどもめ。
少しでも早く、僕の手駒としての質を一人一人把握しておきたいのに。
「ま、コレ以上アイツらをおちょくるなって話だ。一応忠告はしたぞ」
「優しいねぇ卯月ちゃんは。それはそれとして、一人称『私』に直せって言ったよね?」
「なんでだよ! ヒトの勝手だろっ」
「君みたいな『アニメ声優並みのキンキンボイスとぶりっ子アイドル並みの童顔』が男勝りな俺っ子ってのも需要あるだろうけど、急に内面が女の子っぽくなったら周りは僕に調教されたと思って恐れ慄き恐怖するだろっ」
「どんな人心掌握術だよっ。あと次そのコンプレックス指摘したらブッ殺すぞ!」
「支配の第一歩が『恐怖』ってのはおばぁのやり方なんでしょ?」
「お袋のは恐怖とカリスマ性を両立させてんだよっ。尊厳奪うような真似はしねぇっ」
「尊厳破壊が一番効率良いいって漫画で見たのに!」
「……で、この持って来た備品はどこに置くんだ」
強引に話題を戻した卯月ちゃん。
手にしてる物がガシャリと掲げて見せる。
「それは夜にやる神楽の舞台照明器具類だね。主役の舞子ちゃんを引き立てる立役者だよ」
「ほんとに踊れんのか? アイツ」
「知らないけど本番に強いタイプでしょ(適当)」
そんな舞子ちゃんだが、現在は(逃げないよう)本番まで控え室でくつろいで(軟禁して)貰ってる。
あの日、卯月ちゃんをブチ抜いて以降、
『れ、練習するから〇すのは勘弁して欲しいっす!』
と真面目になってくれたので、指導は捗り、なんとかこうして本番に間に合わせる事が出来た。
控え室(監禁室)にいる彼女をさっき見たら緊張でガクブルしてたのが一抹の不安を覚えさせたが。
──まぁ、これは数時間先、神楽をした後の未来の話になるけれど。
神楽を成功させた舞子ちゃんだったが、何故か【町に封じられた邪竜】が復活。
どうやら、歴代の踊り子は『ワザと踊りを失敗させていた』という真実が後に明らかになるが……それ関係の物語は、また別のお話で。
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