十九話「いいよ……。仁に抱きしめられるの好きだから」

 お互い風呂から上がり、桜はドライヤーで髪を乾かしていた。

「……多分乾いたからいいかな」

 ドライヤーのコンセントを抜き。一度お風呂場の方に向かって布団の方に戻ってきた。

「……」

 桜の顔を見ただけでお風呂のことを思い出してしっていた。

 顔が熱く心臓が五月蝿い……。

「なぁ、桜。抱きしめてもいいか?」

「えっ!?」

 また口が出て桜が物凄い速度でこっちを振り向いた。

「いいよ……。仁に抱きしめられるの好きだから」

 桜が体を思いっきり広げて構えていた。

「……んっ」

 俺はそのまま桜の方へと正面から抱きしめた。

「……」

「えへへ」

 髪の毛がほんのりとあったかくシャンプーの香りが漂ってくる……。

 意識してしまうほど胸のところが桜の胸に当たって柔らかい。

「……仁」

 桜がギュッと抱きしめてきた。

「ねぇ仁今度。デート行こう」

「っ!! ……えっ?」

 俺は思わず桜の方を向くと彼女が頷いていた。

「デートしたい」

 彼女と初めてのデートか。ヤバ、顔がニヤける。

「いいよ」

「本当っ!? やったー!」

 桜が思いっきり抱きしめてきた。

「仁と初めてのデート!」

 俺は優しく桜の頭を撫でた。

「……デート楽しみにしてる」

「うんっ!」

 桜が布団に入り込んで俺も寝る態勢になった。

「デート楽しみだな」

「うん!」

 お互い眠り。週末の長い土曜日を待った……。

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