十二話 「お弁当美味かったよ」

 学校に到着し、同じ教室に入っていった。

 桜は友達のところの方に挨拶していって、俺は自分の席のところに座り込んだ。

 すると後ろから俺の友達が話しかけてきた。

「ウィース!」

「おう」

 彼は村田むらた 翔太しょうた。入学してから付き合いが長い友達だ。

「なぁなぁ、昨日ドラマ見たか?」

「見てないな」

「マジかよ、面白いんだぞ!」

「興味があったらな」

 零士と軽く雑談をして俺は桜の方を向いた。やっぱり彼女として気になってしまう。

 桜も友達と雑談をしていた。

 ……やっぱり可愛いな。

 そんな風に思いながらホームルームと授業が始まり。俺はチラチラと彼女のことが気になってしまい授業なんか聞いていなかった。

 たまに桜の方も俺の方を向いて小さく手を振ってくれた。

「――っ」

 その笑顔を見れることが物凄く嬉しくて俺も手を振り返していた。

 そんな感じで午前中は終わり昼休みのチャイムがなり響き桜がこっちに近づいてきた。

「仁、お弁当食べる?」

「え。おぉ? 弁当作ってくれたの?」

「うん。良かったら食べて」

「……ありがとう」

 俺は桜から弁当を受け取った。

「じゃあ私は友達と食べてくるね」

「わかった」

 お互い手を振り桜は友達の方へと向かっていった。

「……なぁ仁」

 翔太がじっとこっちを見つめていた。

「ん?」

「改めて聞くけどさお前らって付き合ってないのか?」

「――っ!」

 思わず付き合っていると言う言葉で心臓が飛び上がった。

 前に翔太に聞かれたが「普通の幼馴染」と言っていた。

「ナンデソウオモウンダ?」

「いや、先週までボーとしてたくせに急に伊波いなみのことをチラチラ見ててお互い手とか振ってるんだぜ。それといつもはパンなのに。今、伊波から弁当を渡されてるんだぞ。明らかに不自然だろ」

 そっか明らかに不自然だったか……。まあしょうがない。正直に話すか。

「……俺たち付き合ったんだよ」

「あぁやっと?」

「まあ、はい……」

「へえー」

 買ってきたであろうパンの袋を開けてムシャムシャと食べていた。

「まあ、頑張れよ〜」

「あぁ……」

 桜から受け取った弁当の蓋をあけるとエビフライや小さいハンバーグにミニトマトと小松菜で色とりどりとしていて美味そうだった。

「おぉ……」

 そしてエビフライから一口かじる。

「んんっ!!」

 衣がまだフワッとしていてサクッとしていて美味かった。

「うまっ!」

 そしてハンバーグの方も食べると中から濃厚のチーズが出てくる。

 これもご飯が進んでしまう。

「やばいな……」

 やっぱり桜の料理は世界一美味しい……。

 他にも胡麻が効いた小松菜とかも食べながら翔太と喋っていたらお弁当を平らげた。

 午後の5時限目。

 数学だがやっぱり授業中は桜の方を見ててしまい授業に集中出来なかった。


 そして帰りのホームルームを終え生徒たちが教室からバラけて出した。

 桜がこっちに近づいてきた。

「仁一緒に帰ろ!」

「おう、わかった」

 すると一人の少女がこっちに話しかけてきた。

「やあやあ、お二人さん熱いね……」

 話しかけてきたのは桜の友達の朝倉あさくら 寧々ねねだ。

「――っ!」

 すると桜の顔が真っ赤になっていた。

「もう、寧々ちゃん!」

「わぉ! ごめんごめん……じゃあ、邪魔者は解散しないとバイトに遅刻しちゃうからバイバイ」

「またね」

 手を振りながら教室を去っていった。

「じゃあ俺も部活だから行くわ」

「あぁまたな」

「おう、またな」

 翔太も鞄を取って教室から出ていった。

「……俺たちも帰るか」

「そうだね」

 二人とも鞄を取り下校した。

「お弁当美味かったよ」

「本当っ!?」

「ホント、良かった」

「えへへ……そう喜んでくれたら良かった」

 桜がめちゃくちゃ笑顔だった。

「夕飯は……唐揚げでいい?」

 ん? 一瞬だけ視線が下の方に向いた気がしたけど。

「いいけど……」

 そしてまた視線を下の方に向いていた。けど少しだけニヤついていた。

 ……これはなんか企んでいるな。

「桜さん。下に何かあるんですか?」

「――えっ!」

 こっちの方を視線を上げると物凄く完全にニヤついていた。

「仁のお尻を触ったから今夜は唐揚げにしようと思ってないよ!」

 ……思っていたな。

「本音は?」

「仁のお尻が柔らかくて可愛くてしょうがないです!」

「……んん」

 自分で聞いておいてなんだけど少し恥ずかしかった。

「……ありがとう!」

「うん! 美味しい唐揚げ作ってあげるね!」

 桜が頷いていた。 

「夕飯よろしくお願いします……」

「うん!」

 その後唐揚げの材料を買いにスーパーの方に立ち寄って、自分たちの家に帰っていった。

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