第8話 睨み合い

俺は密林に飛び込むとジンキング(空戦時の回避機動)よろしく

なるべく不規則につっ走った。


「はぁはぁ もういいだろ!」


息を切らしながら、太い幹の根元に身を伏せて上空を伺った。


「ついてきてないぞ!

どうやら武装ヘリをいったんかわせたようだ

なんだアイツ 見かけほどセンサー類は進歩してないのかな?」


ちょっと距離とって一息いれなきゃ死んじゃうよ

なんしろ突然の戦闘で口の中はカラカラで舌が貼りつきそうって

あれぇ?? なんかそんなに喉が渇いてないなぁ・・


体だって、こんな装甲板付のウェットスーツみたいな

格好でジャングルを走り回ってるのに汗のべったりした

感じが全然ないや むしろサラサラ感すらある


それに、ここんとこ運動不足気味だったのに、

食い物の詰まったバックパックを背負って銃持って、

必死に走り回ってもあんまり疲れないぞ

なんか荷物なんか軽々って感じなんだよねぇ 

俺ってこんなに体力あったっけ?


「あ~ひょっとすると、このコンベンションの

コスプレイヤーみたいな、こっ恥ずかしい

コンバットスーツのお陰なのかなぁ?」


その時、ふっと聞きなれない言葉が浮かんできた


人工筋肉内臓型パワードスーツ

I.R ステルス (赤外線隠蔽)

ホメオスタシス調整機能

Appropriate Camouflage Projection System

(適合カムフラージュ投影システム)


こんな用語が次々と湧いてきたんだ。


「あぁ~そういうことか 完全に理解した(解ってない)

まあいい、ともかくだ 弾幕弾といいこっちが守られているの

間違いないようだからなぁ」


そんな風に思ったらちょっと安心感が湧いてきたぞ

俺はシュッ!とすばやくバックパックのサイドポケットから

ナッツ入りチョコバーを取り出すとムシャムシャしながら

水筒から水をグビッと飲んだ。 


「うわっ! うんめ~! デビルチックな旨さ!」


ただの水がこんなに旨いなんて・・ちょっと感動したな


食べながら考えてみると、シューティングゲームとかで

敵からの攻撃に対して一定の時間だけ無敵になるモードが

あるけど、あの弾幕弾はミサイルや砲弾の無効化という点では、

その一定時間無敵モードの実装ともいえるのかなぁ・・


ギュオォ~~ン!


攻撃ヘリは少し離れた上空をかなりの速度で旋回しながら

こっちを探し回っているようだ


パリパリリッ!!


その姿を見つめながらどうやって攻めるか?

俺は、うまか棒のコーンポタージュ味を

ほうばりながらあれこれ考えた。


「ああ ダメだ やっぱりダメだぁっ! 」


確かに攻撃ヘリのミサイルなんかは防げることはわかった

だけど、こっちの小銃弾じゃヘリの装甲は打ち抜けない

これじゃ、こちらからも手が出せないよ・・


「う~ん この銃って魔銃って言うほど大したこと

ないんじゃないのかなぁ?」


そんな疑問を持ちながら銃をチラ見した時だった。


"白いボタンを押してから よく狙って撃て"


キタ――(゚∀゚)――!! 心に謎のメッセージ!

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