第5話 悪を抱き参らせる

『悪を抱き参らせる』と聞いた事がある。

いわゆる統合と呼ばれるものがこれか。

二極の対立構造は一見正当に見えるが、もともと対立せずに

統合していたものが、対立したことで、コントラストが良く見えているというだけである。

何も起きていない事がベストであるのに、『起こして安心する』

もともと何も起きてはいない。

平穏な凪(なぎ)だけでは、統合の意味がわからない。

平穏な、凪を知るための、波であり、嵐である。

統合のありがたみを知るための対立なのであろう。

波が無ければ、モヤは発生しない。

と、考えると何も起きていないところに、嵐を起こして、対立させているとも言える。

善と悪、光と闇、社会の闇、与党対野党、

事件や事故、本当に起きているのかも疑わしくなる時すらある。


事故が起きてこその警察、保険、火事が起きてこその消防、保険。

ゼロだったら必要の無い産業がどれだけあるのか。


本当にゼロは不可能なのだろうか。

むしろ事故や火事を推奨しているようにさえ見える。

社会の仕組みがそうなっている。

洗剤のいらないという画期的な洗濯機が市場から閉め出される。

健康なのに健康診断を受けると入院になる。

自然に治るのに、薬を飲み、治った理由をつける。


これが地球劇場のカラクリ。


何も起きてはいない。

【起こしている】のである。


凪だけでは、不安だからあえて波を起こしているのである。


イザナギとイザナミとは、凪(なぎ)と波(なみ)の事ではなかろうか。


凪と波があって初めて粒子が生まれる。


そして雨となってすべてを創る。


すべての始まりは、凪と波がモヤを創り、粒子を創るところから。

性質の違うものが合わさってこそ、新しいエネルギーが生まれる。


男女、光と闇、右と左、そして善と悪。

性質の違うものの統合が新しい現象を生む。


悪をただ参らせるのではなく、『悪を抱き参らせる』のである。




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