第14話 兄上の気持ち

「あの…俺の事はここの人達に聞いてみて下さい。たぶんこの町の噂として、もう出回っていると思うので…」


「ギルド長ー!!大変ですー!!ラ、ラン…」

 青年が急いで応接室に入って来て俺と目があった。

 俺が此処に居ることに青年が驚いたようだった。

「ラ、ランティス様!!す、すいません!」

「い、いや……俺はもう貴族じゃあ失くなったし…昨日、平民になったばっかだから……」

「ま、まさか…あの噂は本当だったのですか!?」

「う、うん…昨日、15になったから…今は冒険者登録をしてる所……」

 その青年は絶句して…

 何がなんだか分からなく、困惑顔のレオさんに青年は町の噂を話してた。

「ラ、ランは元々、貴族だったからギルドの事も…」

「はい、そうです…昨日始めて聞きました」

「じゃあ、ランはユリアさんとたまたま会ったと言うことか…」

「昨日はそうですね。でもここに住んでる人達は俺の事は知ってるので…」

「そうか…」

 沈黙がすごく、居心地悪い。


「と、言うか良く父上達に俺が外に出てる事がばれなかったなと思ってたら…情報が漏れない様に気を遣ってくれてたなんて…」

「う、うん。ユリアさんの家で自身が防音結界を入ってくれて、そこでいろいろ話したり聞いたりしていまたから…」

 俺は納得していると

「あの…」

 アリーが気まずそうに

「あ、ごめん。話し込んじゃって…」

「始めまして、俺はタギと言います。」

「あ、始めまして…アリエッタです。アリーと、呼んでください…タギさん?でいいですか?」

「タギでいいです。ランティス様も、そう呼んでください。俺はユリアさんの秘書みたいな事をしています」

 俺はその言葉を聞いて

「あ、たまに兄上と別々に行動してた時が有ったけど…じゃあ、もしかして…」

「ランティス様の想像通りです」


 俺は思い出しながら…。

「あぁ、その時にユリアさんかタギに今の状況を話してたとか?」

「そうです。ジル様が来たら、その日の夜にユリアさんの所に行ってランティス様の状況を聞いてました」

 今度はレオさんとステラさんが絶句して


「もしかして…『始めに町長さんの所に行け』と前ギルド長に言われてたのは…」

「そうですね。その話をしようとしていたけど、ギルド長が来なかっただけです。私たちはいつも待ってたのに…」

「と、言うか引っ越し?されたら、普通は挨拶に行きますよね?」

「もしかして…前ギルド長はギルド長が挨拶をしないかも知れないから、念を押したのかも…」

 ステラ、タギ、俺、アリーの順でギルド長に正論をぶつけた。

「ランティス様の事があるので、外からの情報は入って来なかったと思います」

 アリーが俺に気を使って

「ジル様はランを過保護な位、心配していたんですね」

「もう、隠す必要がないので普通に話すと思います」

 その言葉を聞いて情報がそこから出ているとは思いもしなかった。

「それにしても、なんで俺の事にそんな気を使ってたの?」

「ジル様から始めに聞いた話はランティス様の状況でした。『領主様は領民には優しいけど、ランには無関心だと』」

 俺は何も言えなく

「『だから、私が外に連れ出すけど父上には隠して欲しい』と頼まれたんです」

 ジル兄上はそこまで気を使ってくれてたなんて…。

「あっ、たまにジル兄上が父上に怒鳴られていた時が有ったけど…もしかして…」

「『ランには隠して欲しい』とジル様が仰って…、多分ランティス様に心配を欠けたくなかったんでしょう」

 そんな話を聞かされたら、涙が零れて…。

「ジル兄上…あのタギ、手紙…送れるかなぁ…」

 涙を流しながら

「それなら、私達がジル様に直接渡します。だから、今の思いを書いて下さい」

 俺は頷き、アリーが背中を優しく叩いてくれた。

「大丈夫だよ。ランの気持ちはジル様に届くよ」



 

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