第12話 ギルド2

「アリー、おはよう」

 アリーが起きて来たのを見て挨拶した。

「おはよう、そういえばランはあれからどこで寝たの?」

「ユリアさんが『隣の部屋が空いてるからそこを使って』と、言ってくれたのでお言葉に甘えて借りた」

「そうなんだ」


「あの後、『これからどうするか』聞かれて…

 俺は旅をして、いろいろ見て見ようかと思ってるんだけど、アリーはどうする?」

「もし、迷惑じゃなければ一緒に行ってもいい?」

「いいよ」

「えっ、本当に!?駄目元で聞いてみたんだけど…良かった…」

 アリーは断られると思ったみたいだ。だから『いい』と言われて驚いたようだ。

「いいって言ってくれてありがとう」

「アリーは1人だったし、何かしらの事情が有るみたいだと思ったから…」

「そ、そんなに分かりやすかった?」

「うん、だから多分…『私も一緒に行く』って言うと思ってた…」

「そ、そうなの!?」

 俺の言葉にビックリした様子で聞き返し

「いや、今までのアリーの状況を聞いたら、なんとなくそうなるだろうと思った感じ」

 そう、素直に伝えた。

「じゃ、じゃあよろしく。これからどこに行く予定なの?」

「あ、そういえば…アリーは冒険者登録してる?」

「うん、してる。ほらEランクカード」

 なんで?という表情で見つめ返してきた。

「俺はまだだから」


「あ、そうか…じゃあ冒険者ギルドに行くの?」

「うん、ユリアさんに勧められて…。それと一緒に行動するなら、パーティー登録をした方がいいとも言われた」

「ランは私と一緒でもいいの?」

「うん、俺1人だと何も分からないから経験者のアリーが居てくれると嬉しい」

 そんな事を言ったら、泣き出してしまった。

「えっ!俺何か変な事言った?」

「ううん、嬉しくて…。そんな事言われた事がないから…」

 そうか、アリーは…。


「あ、そういえば…ユリアさんから、このネックレスを俺とアリーにって貰った。はい、アリー」

 アリーがそのネックレスを見たら驚いたようだった。

「え、えぇぇ!!」


「?アリー、どうしたの?」

「こ、これって…、『野薔薇』のユリアさん…」

「あー、その『野薔薇』って何?ユリアさんが言うには二つ名って言ってたけど…」

 俺がそう答えたら

「ランはギルドの事、全く知らない?」

「うん、昨日始めて聞いた」

 その言葉を聞いたとたん、アリーは俺が貴族だった事を思い出したみたいだ。

「そうか…ランは平民になったばっかだからギルドの事まだ知らないのか…」

 そう呟き、

「あの…ギルドと言うのは依頼を受けて、魔物討伐したり、物質を運んだり、採取したりする物。自分のランクにあったクエスト…仕事を探すの」

「始めはFランクの物しか受ける事が出来ないの?」

「そう、Fランクの仕事は薬草採取、簡単な魔物(だいたいウルフかゴブリン)討伐、掃除といった仕事をするの」

「それって、やりたがる人っていないんじゃ…」

 俺がそんな疑問を口にすると

「だからだよ。Fランクの仕事が出来ないと、ランクが上がらないし、高いクエストをする事が出来ないの」

「そうなんだ…。それってアリーも結構たいへんだったの?」

「ううん、仕事事態はそうでもないんだけど…時間がかかるし、ギャラ…お金が少ないから…」

 と、アリーが苦い表情をしながら答えた。

「だから人気がなく、やる人が少ないんだ。でもEランクに上がるためには、ここを通過しないといけないから…」

「ふーん、まずはFランクの仕事が出来ないと次のステップにいけない感じか…」


 俺がそう呟いているとアリーが

「私はランと会う少し前に登録したばっかで、やっとEランクになったの」

 俺はなんとなく理解した。Fランクは誰もやりたがらない仕事なんだ…。

「あ、それから薔薇の模様に魔力を流して」

なんだか分からない表情で頷きながら

「う、うん。流したけど、なんで?」

「ユリアさんが言うには、魔力を流して置けばアリーの物だと分かるから」


「もう1ついい?二つ名って何?」

 俺はユリアさんが言ってた、二つ名と言うものがなんだか分からなく、

「二つ名と言うのは、客観的に見てその人にあった名前」

「じゃあ『野薔薇』と言うのはユリアさんに合った名前なんだ…」

「『野薔薇』は普段は優しいけど、仕事になるとう容赦ないと言われてるの…でもまさか、こんなとこにいるとは思わなかった」

 俺はよく分からないけど

「じゃあユリアさん事は『野薔薇』と呼んだ方がいいの?」

「そうだね、冒険者ギルドではそう呼んだ方がいいと思う。もう関係ないと思うけど……念のため」

「そうなんだ」

「『野薔薇』の名前はみんな知ってても、どこにいて誰だか分からないから」

 なんだか権力を使ってるみたいなんだけど…。

「じゃあ、冒険者ギルドで他人と話す時は『野薔薇』と言うよ」

 まぁ、郷に入れば郷に従えと言うし…



 

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