さすらい流れ流されて

 書簡体を巧みに活かした良作。主人公のぼやきが随所で現実味を盛り上げつつ、読者を興醒めさせないよう『任務』の内容を適時盛り込んでいる。
 主人公が、職業以外は具体的に誰なのかわからないようにしているのは意図的な演出だろう。そうすることで間接的に『例の』冒険者をひきたてる形になっている。謎めいたお頭もあれこれ想像する他ないが、全ては『例の』冒険者にスポットライトを当てるためだろう。
 本作が陽の目を見ずに不遇をかこつのは納得いかない。
 詳細本作。