未来   (必ず最後に読んでください)

「タンちゃんはあのとき死のうとしてたのよね」

「あれがお父さんじゃなかったらどうするつもりだったんだろうね」

「それにしてもタンちゃんが叔父さんだったなんて、ちょっと嬉しいかな」

「えー、本当に?好きだったんでしょ、他人のほうが良かったんじゃないの」

「そういう意味の好きじゃないよ」

「実の父と双子だなんて誰が考えるのよ、ねえ。意地悪だわ」

「ほくろしか違いがないなんて奇跡みたいなこと、私たちだけだと思ってたわ。お父さんが生きてたのは嬉しいけど、なんか素直に喜べないよね」


 一件落着してから、二人はずっと笑顔のままだ。


「あんたはできる?双子の弟に死んだふりして、ずっと日本にいたのに二十年以上妻子にも会わないなんて」

「無理よそんなの。だから、私は普通の生活を選ぶわ」

「そうね、私もそうする」

「お父さんはどこに行ったんだっけ」

「叔父さんとバーに行くって言ってたよ。日本人より日本人のマスターがいるんだって」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

闇夜の君に朝日が差すまでは @CRUISE-O

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ