マルちゃん家族④ 姉と彼女と初詣♡ 紅白<赤緑 赤緑そばの効力

最時

初詣

 元日。カンナと初詣にきている。

 土日にはよく観光バスが来ている近所の大きな神社。もちろん今日は特に混雑している。

 元日の初詣は久しぶりだ。この寒い時季に混雑した神社に参るのは遠慮したかったがカンナとデートなら悪くない。しかし・・・

「この寒い時季によくこれだけの人が来るわねえ」

「お祭りのようなものですよね」

 実質、デートしているのはツバサ姉とカンナで、俺はその付き添い。

「ツバサ姉。家にいて良かったのに。昨日、田舎の冷風で風邪を引くとか言ってなかった」

「男のくせにねちねちと。カンナちゃんとデートなら行くに決まっているでしょ」

 そう言ってカンナにハグをする。

「・・・」

 おそらく生まれたときからの刷り込みで姉には逆らえない。

「まあまあ。姉弟仲良くしてください」

 カンナが間に入り二人の手を握って歩き出す。まあ、悪くない♡


 参拝の列に並ぶ。

「カンナは去年も元日に参った?」

「毎年来ているかな」

「カンナちゃんは偉いねえ。こいつは寒いからとか言って引きこもっているから」

「自分だってそうでしょ」

「風邪引くといけないから」

「はいはい。同じだから」

「もう、お正月くらい仲良くしてください」

 再びカンナが間に入り二人の腰を抱く。いいかも💕

「二人は何お願いするんですか」

「平穏無事とか」

「カンナちゃんは?」

「私はやっぱり赤緑問題の終結かな」

「カンナちゃん。そう簡単にはいかないよ」

「わかってますよ」

 二人の間に緊張が走った。一体何なんだ?


 参拝が済むと姉が

「あとは赤緑そばを食べて帰りますか」

「そうですね」

「赤緑そば?」

「まさか赤緑そば知らないの?」

「知らないけど」

「カンナちゃん。こいつヤバい。一般常識ない」

「ふふ。そうですね」

「・・・」

 店に入って二人は赤緑そばを頼む。俺は昨日、飲み食いしすぎたので遠慮しておいた。

 できてきたのはミニカップの赤いきつねと緑のたぬき・・・ 飲食店であからさまに出てくるのに違和感を感じた。姉がそんな俺を見て、あきれたように説明する。

「お店で出てくるのは三が日だけよ。赤緑、斥力で災いを遠ざける縁起物。めでたさも紅白より上だから」

「・・・」

 嘘くさい。けど現に出てきているし・・・ 後で調べてみよう。

 二人が食べているのを眺めていると

「ほら、あんたも食べなさい」

 ツバサ姉に赤いきつねを食べさせてもらった。

「はい、緑も」

 カンナに緑のたぬきも。恥ずかしくなり顔が熱くなった感じがした。

「なに照れてるの」

「・・・」

 姉の的確なツッコミに反論の余地はなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

マルちゃん家族④ 姉と彼女と初詣♡ 紅白<赤緑 赤緑そばの効力 最時 @ryggdrasil

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ