第22話 [クラスメイトをテイムしてしまった]
家に帰り、ソフィアを取り敢えずソファに寝かして回復魔法をかけて置いた。
(俺も魔法使いすぎて今にもぶっ倒れそうだけど……もうちょい頑張るか)
クラクラとする中、俺はキッチンに立ってホットミルクを作り始めた。ただのホットミルクではなく、俺の魔力をふんだんに込めたものだ。
魔力暴走の次に怖いのが〝
……ま、今の俺なんだけどね。
「う……ん〜〜……。あれ、ここは……」
「目が覚めたか? ソフィア」
リビングの方で唸り声が聞こえたので、俺はそっちに向かって声をかけた。
ホットミルクをコップ二つ分作ったら、それをおぼんに乗せてリビングに向かった。
「あ、うん! ……ってここあなたの家!?」
「だってソフィアの家知らないし。置いてくわけにもいかないだろ」
「まぁ……そっか。うん、ありがと」
「ほい、ホットミルク」
「わぁっ! ありがと〜〜!」
「ホットミルクの方が嬉しそうだな……」
ソフィアにホットミルクを渡すと、部活の小休憩中男児が麦茶を飲むかのようにぐびぐびと飲み始めた。
すると頭の上の耳と、腰あたりの尻尾がピンっと立った。尻尾はブンブンと勢いよく降り始めた。
「っ!? 美味っ! 何これすごい美味しい!!」
「それは良かった。……お、我ながら美味いな」
体があったまってくるが、魔力はさっき使った自分の魔力だからあまり回復はしてない。今にも倒れそうだ。
「さて……ソフィア、質問いいか?」
「んぇ? いーよー」
ホットミルクをコクコクと飲みながら二つ返事で答えた。
「ソフィアも異世界から転生とか転移してきたのか?」
「んーん、地球生まれ地球育ち。ちなみにあたしの両親は人間よ。先祖返りってやつ? 私のご先祖様が異世界から来たらしいの」
「ふむ……」
じゃあだいぶ昔からこの世界には魔法という概念があるということか。しかし、なぜ世界は知らないんだ?
……ま、今はまだ大丈夫か。
「じゃあ質問二つ目。『強いやつかどうか』って言ってたが、確かめてどうするつもりだった?」
「普通に強いかどうか確かめるだけだった……」
「ああ……そう」
「急に興味なさげになるのやめてっ!?」
……まずいな。クラクラして返事も曖昧になってしまった。あれ? ソフィアが三人に見えるな……。
そして俺は、いつのまにか目の前の机とゼロ距離の位置にあった。
「ちょ、だ、大丈夫!? 急に机に頭ぶつけてたけど……」
「ちょっと魔力欠乏症なだけだ……」
「それ死ぬかもしれない危ないやつって聞いたよ!? は、早く魔力渡さないと……」
「魔力を渡そうにも、その魔力が自分の魔力と混じらない可能性がある……。大丈夫だ。寝れば治る……」
おそらく死にはしないが、数日ぐらいの日数は必要とするかもれないな……。
「そ、そうだ! おばあちゃんから主従関係を築いたら魔力を渡せたりできるって聞いたことあるよ!」
「主従関係ぃ……? ああ……【
クラスメイトをテイムするなんて……しかもコイツは学園でかなり人気らしいし、モデルもやってるって噂で聞いたことある。
「だ、大丈夫だから! あたしの家の決まりで負けた相手には絶対服従しろって言われてるの! お互いウィンウィンだから、ね!?」
ソフィアの尻尾はなぜかブンブンと激しく振られていた。
「そっか……なら、大丈夫か……」
この時、相当朦朧としていた俺はなぜか『大丈夫だ』と思ってしまっていたのだ。
俺は自分の人差し指を口で噛み切る。赤い血がじわっと出てきた。
「嫌だと思うけど……ソフィアが血を飲んで、俺が魔法名を唱えたら完了だ……。本来は、魔物とか獣の姿のものに対する魔法だから……」
「わ、わかった! あむっ!!」
俺の指がソフィアに咥えられ、生暖かい温度が伝わってくる。俺は途切れそうな意識をなんとか繋ぎ止め、魔法の名を唱えた。
「……【
すると、ソフィアの首あたりが輝き出し、彼女の首に金色の首輪が現れた。
「お、おお! なんか不思議な気分……。えっと魔力はどうやって渡せば……」
「さっきので……魔力がもう……。やばい……」
「ええぇっ!? えっとえっと……えいッ!!」
すると、俺の体の中にひんやりとしているが、温もりがあるものが流れ込んできた。ソフィアが魔力を渡すことに成功したらしい。
途切れかけてた意識もだんだんと戻ってきたのだが、それと同時にとんでもない焦りが出てきた。
(あ、あれ……? なんであの時の俺『大丈夫』って思ってたの?? クラスメイトの女子をテイムしたってどんなことだよッ! 弁解のしようがない!!)
ダラダラと汗が吹き出るが、ちゃんとソフィアと話さないといけないな……。
俺はソフィアの方を向き、話を始めることにした。
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