あげさんストロー

ふたりおひる

どようびにときどき、おとうさんもおかあさんも、そろっておしごとにいくひがあります。

でも、さみしくなんてないんだよ？

こんなときだけの、おたのしみがあるからね。

それは、ポンにいちゃんとのふたりおひる！

コンちゃんは、ポンにいちゃんといっしょにおひるごはんをたべるのがだいすきです。

おかあさんは「すけろくずし」っていうおすしのはこをかっておいてくれたりするんだけれど、

おすしがないときは、きつねさんとたぬきさんをたべます。

コンちゃんはね、おそばがだいすき。

だから、みどりのたぬきさんにおゆをいれてもらいます。

ポンにいちゃんは、あかいきつねさん。

はじめてふたりできつねさんとたぬきさんをたべたとき、ポンにいちゃんがいいました。

「あげさんすきだろ？あげるよ」

「ポンちゃん、てんぷらさんすき？」

「すきだよ？」

「じゃあ、こうかんこ！」

それからいつも、おあげさんとてんぷらさんをこうかんこするようになりました。

「ポンちゃん、こうかんこ！」

「いいぞ、ほれ！」

きょうも、おあげさんがのっかった、おそばさんのできあがり！

ちゅるちゅるたべて、もぐもぐごっくん。

おいしいたのしい、じかんです。

コンちゃんはまだ、おはしがにがて。

でもだいじょうぶ！

ポンにいちゃんがもってきてくれた、ゆうしゃのフォークがあるからね！

だけど、このおおきなおあげさん。フォークじゃうまくたべられない。

しかたないからつかんじゃう。

おとうさんも、おかあさんもいないし、ポンにいちゃんはおこらないからね。

おててがつやつやキラキラになって、なめるとおいしいあじがします。

ほっぺたぽろりん、にっこにこ。

だんだんおなかがいっぱいになってきちゃった。

おそばはもういいや。

おあげさんをくわえて、ちゅーちゅーします。

あじのついたおあげさんがかくしてた、おそばのおだしがおいしいんだもん。

ちゅーちゅーすって、おだしのおふろにとぷんとつけて。

ちゅーちゅーすって、おだしのプールでおよがせて。

「あげさんたべないの？」

ポンにいちゃんがふしぎそうにいいました。

「もうちょっとちゅーちゅーしてから」

そういうと、ポンにいちゃんはいつもとちょっとちがうかおをしてわらいました。

いつものわらうかおよりも、ほんわかあったかいかおです。

「ポンちゃんもあげさんストローする？」

「あげさんストロー？」

ちゅうがくせいのくせに、あげさんストローしらないんだって。

ようちえんじがしっているのにさ。

「あげさんストローって、なに？」

「おあげさんでおだしさんちゅーちゅーするの。すーごくおいしいんだよ！」

ポンにいちゃんはまた、ほんわかあったかいかおでわらいます。

「そうなんだ、しらなかったや。だれにおしえてもらったの？」

「コンちゃんがね、はつめいしたんだよ！」

えっへん。むねをはっていいました。

「そうか。コンははつめいかだな」

「ポンちゃんはどうしておあげさんきらいなの？」

「ん？きらいじゃないよ？」

コンちゃんもポンにいちゃんも、あたまのうえにはてなマークがぽわんぽわんしています。

「おすしのときのおいなりさんもくれるし、きつねさんのおあげさんもくれるから、ポンちゃんおあげさんきらいなんだとおもってた」

そういうと、ポンにいちゃんは「わはは」とわらいました。

「コンがまきずしたべないから、おいなりさんをかわりにあげてるんだよ。おいなりさんはよくたべるから、あげさんすきなのかな？っておもって、あげさんあげてたんだけど……」

なーんだ。そういうことだったのか。

「コンちゃん、たまにはてんぷらさんたべたい」

「じゃあ、こんどはこうかんこなしでたべようか」

「ううん。こうかんこする！」

ポンにいちゃんのあたまのうえに、はてなマークがぽわんぽわん。

「こんどはね、てんぷらうどんがたべてみたい！ポンちゃんいつも、おいしそうにたべるから」

「じゃあ、こんどはにいちゃんがきつねそばな」

つぎのどようびは、おかあさんがいて。

そのつぎのどようびは、コンちゃんだけおばあちゃんちにいきました。

そのまたつぎのどようび。ついにこのひがやってきました。

ポンにいちゃんとの、ふたりおひる！

「コンちゃん、てんぷらうどんだよ！」

「わかってるよ、ちょっとまってて」

あかいたぬきと、みどりのきつねのできあがり。

「「いただきます」」

きょうもゆうしゃのフォークをつかってたべます。

でも、おそばとうどんじゃちょっとちがうんだね。

ひらたいおうどん、フォークにからまってたべやすい。

ポンにいちゃんが、おはしでじょうずにおあげさんをつかみあげました。

たいへんだ、おしえてあげなくちゃ！

「ポンちゃん、あげさんストロー、おいしいよ！」

ポンにいちゃんは、わすれてたってかおをして、おあげをちゅー。

「うん、おいしい！」

あげさんストローのおいしさをわかってもらえて、コンちゃんにんまり。

「あげさんたべちゃだめだよ、おだしちゅーちゅーおわったら、たべていいんだよ」

「ほいほい」

ポンにいちゃんは、ほんわかあったかいかおでわらいます。

はじめてたべた、てんぷらうどん。

とってもとってもおいしいです。

「「ごちそうさまでした」」

おなかはもう、パンパンです。

そうだ、こんどはてんぷらそばをたべてみようかな？

でも、ポンにいちゃんとこうかんこしたいな。

あげさんストロー、おいしいんだよな……。

「ポンちゃん。やっぱりコンちゃんがおあげそば！こんどもこうかんこしよう」

「いいよ、つぎもまた、こうかんこしような」