#22 インチキ合戦@酔い潰れる5秒前?のヴェロニカ
だめだ……ヴェロニカの奴、一杯目でもう目がとろんってしてる。それもそのはずで、中身はウィスキーだ。アルコール度数40%はあるぞ……。チューハイの一杯目で酔うようなヤツなんだから、太刀打ちできねえだろ……。
どうだ?
ヴェロニカの投げた目は……2かよ……0点。次に、鬼島のクソ野郎が難なく飲み干しやがった……出た目は……5ッ!? 1点か。
「ヴェロ姉……これって酔っても酔わなくてもサイコロの目は投げるだけなので運です。酔いつぶれないようにだけ……」
「違う……サイコロっていうのは投げ方である程度出る目を操作できるの」
「……確かに。じゃあ、どうすれば?」
「とにかく、今は投げて。あたしを信じて」
「……はい」
確かに。ヴェロニカの言うことは
シナモンちゃん……けれど、なんだかあまり緊張感がないな……なんだか落ち着いているっていうか。そういえば、リオン姉も黙って
俺は……こんなにも
「……未成年じゃないよな? 未成年だとして飲酒自爆行為で店を潰すとかは……さすがにないんだろうな?」
「わ、わたしは20歳ですっ!! それに、お酒は弱くありませんッ!!」
うわーーー一気に
で、投げた目は……1かッ!! よしッ!! よくやったシナモンちゃんッ!!
これで同点。次は……萌々香の番だ。
さすがに一気に飲み干してもなんともないな……。
受け皿に……投げたサイコロの目は……5ッ!?
鬼島と同じ目……チッ!!
「萌々香さんいいですね。さすがです。これで2ポイントでリーチだな。さて、ヴェロニカさんの番だ」
「ヴェロニカ……本当に大丈夫なんだろうな?」
「らいじょうぶらお……」
おい……全くダメじゃねえか。
次の一杯がトドメになって負けるのが目に見てるぞ。
ホストが持ってきたグラスを……おい、受け取るのに時間かかりすぎだろ。
完全に酔ってる……。マズイぞ。
あぁ……辛そうだ……飲み干すまでに……時間が。
「おや。ヴェロニカさんもう限界じゃないの?」
「よっわ。よくそれで勝負受けたわね? あんたは酔いつぶれて床で寝てなさいよ」
「黙っていてくださいッ!! ヴェロ姉はまだ潰れていませんッ!!」
飲み干した……それで投げた目は……4……だめか。
次は鬼島の番だ……。
まずいまずいまずい……。
余裕で飲み干して……はッ!?
5ッ!?!?!?
「勝ったな。完璧な勝ちだよな?」
「俺は認めねぇぞぉコラァッ!! ふざけんなよッ」
「あれれ〜〜〜ハケヒャッタホ?」
「ヴェ、ヴェロ姉、どうするつもりですか〜〜〜と、とりあえず水飲んでください……ッ!!」
一晩……ヴェロニカをこの鬼島のもとに?
ヴェロニカは……こんな男に抱かれて……。
泣くヴェロニカの顔が……浮かんで消えねえ……。
美羽。
……ふざけんな。
「離せッ!!!」
「こ、こいつとんでもない力ですッ!!」
おにしまぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!
ぜってぇぇぇズルしたじゃねえかッ!!
ぶち殺すぞてめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!
「ハル殿、待て」
「リオン姉どけってッ!! 俺がこいつらをぶちのめして、皆殺しにしてやんよッ!!」
「ま、待ってください、ハルさん、落ち着いて〜〜〜〜」
ヴェロニカが立ち上がって……ん?
「負けちゃったか。じゃあ、次は……」
「次なんてねえよ。終わりだ」
「あたしのみならず、この3人を好きにしていい。これでどう?」
「……ほお。全員か」
「その代わり、もしあたし達が勝ったら証言してもらうのと……海原のデータも貰う。一回目の勝負はなしってことで」
「……はあ? 都合が良すぎだろ」
「嘘ばっかり。海原を逆に脅そうと撮っていたんじゃないの?」
「……なんのことだ? 意味がわからんが」
「海原が関与した事実が欲しい。それがあれば、クズンドラの一角を崩せるでしょ? もし、条件を飲めないなら……七い……」
「いいわ。一回目はなし。ここからが勝負ってことで。今のは練習よね? その代わり、あたしのハル君を返してもらうわよ? それと……3人とも覚悟があるのかしら?」
「……交渉成立ね」
「はッ!? お、俺? 何考えてんだよ萌々香ッ!!」
「ハル君〜〜〜ようやく解放してあげられるね。あたしがハル君を助けてあげるから、もう少し待っていてね」
「ヴェロ姉……本当に……大丈夫ですかッ!?」
「ああ、私もだ。考えがあるのだろう? ならば信じるのみ」
俺の意見は? え、みんな無視!?
え、ていうか、リオン姉も……みんな……なんか変じゃね?
「も、萌々香さんいいんですか?」
「だって、勝てるんでしょ? 鬼島くん……まさか負けるはずないのよね?」
「そ、そうですけど。なんだかアイツの、ヴェロニカの目つきが……ちょっと変わったような」
「負け犬が負けん気だして
ヴェロニカ……そんなに飲んで大丈夫なのか?
目は
ま、まさか……酔っ払って判断鈍ってんじゃ?
って、言ってるそばから……机に突っ伏して倒れ込むんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!
酔いつぶれてるじゃねえかよッ!!
「おいおい……大丈夫か? ヴェロニカさんよぉ……」
お、起き上がった……ん、意外と普通だな……。
「じゃあ、あたしからでいいかしら?」
「どうぞ〜〜負け犬の泥棒猫さん」
ヴェロニカが一気に飲み干して……サイコロを……5ッ!!
「よっしゃ〜〜〜!!」
「一回奇数が出たくらいで大騒ぎするなって」
「ハル君はいいの~~ね~~~終わったらいっぱいナデナデしてね♡」
「うざッ!! ビッ○は黙っていて」
「この泥棒猫……早く潰れて
鬼島は……まったく酔っていないな。それどころか楽しんでいるきらいさえあるし。
それで……投げた目は……。
「また5か〜〜〜すげえ運がいいな」
「シナモン……投げて」
「……ヴェロ姉はとにかく、水を飲んでください。酔いつぶれたら終わりですからね?」
「だいりょうぶよ」
「全然大丈夫じゃないですよ……」
シナモンちゃんがグラスを
「5ッ!? なっ!! イ、インチキよッ!」
「なにいってふほよ。ほんなはけはいでひょ」
「何言ってるのよ。そんなわけないでしょう。アホ、とヴェロ姉は言っています」
「はぁ? 今のアホは余計じゃないのッ!?」
「いいはらはへほ。こほふはへふぇどふ」
「いいから投げろ。クサレ外道のクソ女。ビッ◯すぎるから息を吸うな。一昨日来やがれってんだバカヤロウ、とヴェロ姉は言っています」
「ぜ、絶対に付け加えているよね? シナモンちゃん創作しちゃってるよね?」
「……ハル殿。シナモンは間違いなく翻訳している」
「それって、こ、心の声だよね? エスパーだよね?」
ああ〜〜〜ヴェロニカ、またテーブルに突っ伏しやがった。
やばいな。次に投げるときまでに起き上がれなければ……負けじゃねえか。
くそ……もし負けたら俺がここにいるホストを含めた鬼島をぶちのめす。
それで、俺がたとえ捕まったとしても全部警察に話して……。
次に萌々香が飲み干して投げた目は……5……ってお前らがインチキじゃねえか。
そんなにサイコロの目が5ばっかり出るはずねえだろうがッ!!
「……くっ。2対2で同点か。だが、そんなに偶然も続かないだろ」
「……鬼島くん……大丈夫なんでしょうね? 奇数出る確率は……
「大丈夫ですよ。俺は強運の持ち主。絶対に負けないですから」
ヴェロニカが飲み干して……投げた目は……5!? また!?
は?
え……えぇぇぇッ!?
5が出て静止したと思ったのにいきなり転がって2が出たんだけど。
「やっぱりインチキじゃねえかッ!!」
「……偶然だろ。負けそうだからってインチキなんて。俺は強運の持ち主だぞ?」
ぶっ殺す……コイツ絶対にぶっ殺す……。
美羽に指一本触れてみろ……。
絶対に許さねえからなッ!!!!
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