第4話 夫の怪我

 夫の骨折から数ヶ月。ギプスをとって、整形外科の医師には、骨はもう大丈夫と言われたのに、夫は足がめっちゃ痛いと言う。骨がついてもしばらくは痛そうだけど、どのぐらい痛いのか夫に聞くと、折れた直後と同じくらいとのこと。くつ下が触れても痛いとか。え??それは少しおかしいかも。そういえば、ギプスをつけている時も、くるぶしにギプスが当たってとにかく痛いと言って、そこだけくり抜いてもらったのだけど、医師は、そんなにキツくないなぁ痛いかなぁと首を傾げながら、くり抜いてくれたということがあった。その後、病院をいくつもはしごして調べて治療して調べて…結局、怪我などをきっかけに起こる慢性的な痛みの病気にかかったらしい。

 怪我から難病にかかってしまった夫。仕事に復帰できないまま、半年、1年、1年半と過ぎていき、少しずつ仕事を増やすしかないナマケモノ。

 そうこうしている間に、子供は小学校に入学となる。

 そして、ふと気づく。忍者の修行のように、毎日僅かずつ課される負荷をなんとかクリアしていくうちに、わたしフルタイム並みに働いてない?子供のことも家のこともやりながら働けてない?

 パートの掛け持ちで働く時間が増えているものの、正社員並みには年収はなく、これはもったいないぞと気がついて、ついにフルタイム高収入の仕事に転職を考える。

 

 やっと辿り着いた、その分野の専門家である主治医曰く、夫はどうも治らないようで、仕事復帰は難しいって。

 あれ?ふと客観的に自分の状況を見てみると、なんか大変な状態じゃない?

 小学校に上がった娘は、相変わらずかぶりつきたい可愛さで、色んなところに一緒に行きたいし、色んなものを買ってあげたいし、色んな経験をさせてあげたい。

 そうなると、この生活どうしていく?

 休業中が続く夫は、なんか家でできる仕事ないかしら?

 掃除や料理など、比較的家事もこなせる夫だが、やはり、わたしがやりたいところもあるのです。ナマケモノでありながら、衛生面がとても気になったり、片付けたかったり、なんだりかんだり…。やってもらって文句は言ってはいけません。でももう少しこうがいいなぁと思うところもあり、そこは言わずにわたしがやるのです。夫の性格的にも、人と会ったり話したりが大好きなので、家事に専念してもらうより、何か外と触れ合う仕事でもなんでもしてほしいなと思ったわけです。ならば、収入0円よりは、1万でも2万でも稼いでほしい。賃貸の我が家も家賃がバカにならないし、中古でもいいから家を買って、カフェでもできないかしら?

 というように、なんだかいろんな面で大変な状況に陥って、なぜかかえってここで「家を建てる」を少し意識し始めるのでした。

 この発想はおかしいのかしら?それとも、切実に今後の生活を考え出したが故なのか?

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