真っ直ぐ女子とイケメン男子の、様々な想像を膨らませてくれる物語。

 和風ファンタジー小説「ー友士灯ー」の作者様が描く青春小説。異形の存在も、それを討つ者もいない現代を舞台とした物語です。

 幼馴染として育った結人くんと咲奈さんの、日常の一コマがテンポよく描かれております。そのふたりの絶妙な距離感がとても素敵かつ、読んでいて後の展開が非常に気になる作品です。

 男女だから恋愛をしなくてはいけないというルールはもちろんございませんが、例えば自分に異性の友人がいて、同じような距離感だったらと考えさせられてしまいました。私ならきっと、相手のことを意識してしまうことでしょう。例えば結人くんの立場だったら「咲奈に好きな人ができたんだ……どんなやつなんだろう」と思うでしょうし、咲奈さんの立場だったら「好きな人ができたけれど、結人にどうやって伝えよう」と悩むかもしれません。
 
 ただ、作中のふたりはあくまでも相談相手、よき理解者として互いを信頼し、また尊敬しています。そんなふたりに対しもどかしさを覚えつつも、彼らの今後を応援していきたいと思う自分が居ました。

 また、中でも「後」の読了感は思わず息を呑むほどです。結人くんの思い、タイトルの意味、全てが綺麗にまとまっています。結人くんの家事能力や性格、夢……全てが素敵です。多分近くに居たら確実に惚れていると思います。

 青春物がお好きな方、ぜひご一読ください!
 

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