あ、その質問生きてましたか。

「あ、その質問生きてましたか。」

 主人公最大のピンチのこの場面。
 もし、この時、顔を真っ赤にしながら、何も言わずに走り去っていたら。
 もし、その場を取り繕うための嘘を並べ立てていたら。
 もし、そんな事言ってないなどと誤魔化していたら。
 もし、何かの聞き間違えだと照れ隠しに噛み付いていたら。
 ……そこで終わり。

 でも、そうはならなかった。これは彼女がコンプレックスを抱えつつも、腐らず、前向きな、明るい心を持っていたから。

 だからこそ、外見の変化とともに内面の美しさも開花したのだと思う。

 奇跡のような出来事だけれど、その奇跡は、誰かが彼女に与えたわけでも、蔵田くんが彼女を振り回したからでもない。彼女自身が掴み取ったのだ。

 そう思えるからこそ、彼女を全力で応援出来るし、この物語に喝采を送らずにはいられない。